スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--)
スポンサー広告

重なる心 すれ違う思い11.75

それにしても、うるさい…(怒)


静寂の中のシャッター音はかなり響く。

それが1時間…。

あいつ、何を撮ろうとしてるんだ?

ベンチから身を起こし、階下を覗く。

ほとんど同じ場所で数枚撮っては
「うーーーーん…」
と唸っている。


あんな小さなカメラじゃ高が知れてるだろうに…。

対象物が動いてるのか?


研究の目処がついて心に余裕が出来たからなのか
今までなら興味が無かった他人の行動が妙に気になった。


気になって…

つい、声をかけてしまった。

の結果、
今、腕の中にこいつを抱いている。

「お前はいつも騒がしいな。」

やっぱりトラブルメーカーの素質があるようだ。


真っ赤な顔して、目の前に立つ小さな生き物…。

俺の手に触れないようにライターを渡す無垢な生き物…。




壊したい…




守りたい…




複雑な感情に駆られ、
頬に手が伸びた…。


「!!!!!!」


さらに染まる頬…。

その柔らかさと想像通りの反応に
思わず笑みが漏れた。




「母の店のメニュー表に使う写真を撮ってましたっっ!
 ここから店が見えるんですっっ!」

母親の店…

ああ、教授が追っかけてる女の店か。

撮った画像を見ると
どれもド真ん中に来てる店がある。

見事な日の丸構図だな(苦笑)


「おい。ここに座れ。」


俺は桃を隣に座らせた。




夕方になると屋上に吹く風はかなり冷たい。

白衣を着ていても、寒さを感じる。

それなのにこいつは…。

短いんだよ、スカートが(怒)




風から守るように後ろから抱いてやる。

「な!?な!?」

俺の厚意を無にするように
パニックになって暴れる桃。

「せ、せ、せんせい!?ど、ど、ど…」

「うるさい。だまれ。」

止まった…。

というより、固まった。


ホントにこいつは…

「よし、良い子だ、桃。」

分かり易い(笑)




結果的に同じような画になってるが、
気に入らずに何度も撮りなおしていたという事は
自分の撮ったものに問題があると感じてるという事。

まだ、見込みがあるか。




夕方特有の色に変わった町並みを
俺の感性で切り取る。

桃は目を見開き
それを見つめた。


「全然ちがうって思ったか?」

「は…い。」

「お前は、素直だな。」

本心から出た言葉だった。




久しぶりの感触…。


研究室の外でシャッターを切ることも
人にこうして教えることも
あの日から無かった。




「今日は暗くなってきたから、また出直してこい。」

そう言うとおずおずと離れる桃…。

今まで抱いていた温もりが風に消されてゆく。

温められていたのは
俺の方か…。




「来る時は1人で来い。」


桃は小さくうなずいた。




らしくないな、全く…。




俺は再び煙草に火をつけ、ベンチに横になった。




18年の時を経て
再び切られたシャッターは
俺をどこに向かわせようとしているのか…。




夜空を照らす大きな月は何も答えてくれない。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
関連記事
スポンサーサイト















管理者にだけ表示を許可する


| ホーム |
Page Top↑
▲ Page Top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。