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出会いは、やわらかく、あたたかく…6

「洋子ママ、ここA定ね。」

「こっちはビールと何かつまみ~。」

「はいは~い。ちょっと待ってね~。
 桃、徳さんのとこにビールお願い。」

「うん。」


午後7時。

ここは、母親が営む
『カフェレスト ママの店』。

“カフェ”とついてはいるけど
所謂昔ながらの喫茶店で、
コーヒー、ビール、
ホットケーキに定食…
雑多に色々なメニューを置いている。

私は八百屋の徳さんにビールを出した後、
お母さんを手伝う為にキッチンに入った。


「なんだか今日は忙しいね。」

「そうねぇ。」


最近無かった賑わいに
お母さんも私も驚きを隠せない。




商店街の一角にあるこの店は
私が生まれた時には
とっくに存在していたらしい。

ほとんどのお客さんが
商店街で商売をしている常連さんで
小さい頃からの顔見知りだから、
男の人が苦手な私でも
さすがに“大丈夫な人”ばかり。

さっきビールを持っていった徳さんなんかは、


「俺が桃ちゃんのおむつ、替えてやってたんだぞ!」


が、口癖。

ビールを半分あける頃には…、


「俺はぁ、この桃ちゃんのぉ~」


やっぱり(笑)


「ま~た始めちまいやがった。
 徳よぉ。
 桃ちゃんもお年頃なんだから、
 そろそろおむつの話は卒業してやんなよ。」

「ああん?魚屋ぁ、何言ってんだい?
 卒業じゃなくて、入学だろ?
 だからこうして集まって…」

「あ!ばかっっ!
 まだ、言うなって!!!」


ん?

いつもと流れが違うような…。


「徳ちゃん!
 それはみんな揃ってからって
 打ち合わせしたじゃねぇか!」

「なんでぇ!花屋まで!
 ちょこっとぐれぇ、かまやしねぇだろ?
 桃ちゃんもわかっちゃいねぇよ!
 なぁ?」

「あ…はい。っと、え?何?」


首を傾げながらお母さんを見ると、
何かを悟ったように
苦笑いしていた。

どうやら今日の賑わいは
ただの偶然じゃ…ない?




それから、小一時間ほどで
商店街の顔馴染みさんが顔を揃えた。

中には、
昼間行った多治見書房のおじさんもいる。


「じゃあ、そろそろいいか?」


さっき怒られて
少し大人しくなっていた徳さんが
ここぞとばかりに立ち上がった。

それに合わせて、
そこにいた全員が立ち上がる。




私はこの晩のことを
一生忘れないだろう。


照れながら、


「桃ちゃん入学おめでとう。」


と言った、徳さんを。


目尻に涙を浮かべて、


「洋子ちゃん、ここまでよくがんばったなぁ。」


と言った、魚屋の重さんを。

みんなの拍手を…
笑顔を…

私、忘れない。




「釣りはいらないから。」


結局みんな、
合言葉のように同じひと言を口にして、
提供したものに見合わない金額を支払って帰った。

お釣りを返そうとするお母さんを
振り切るようにして。

最後のお客さん、
多治見のおじさんから、


「キチンした形にすると、
 洋子ちゃん受け取らないだろ?」


そう聞いて、
お母さんもようやく納得したようだった。

嬉しさと申し訳なさが入り混じった表情で、


「ありがとうございます。」


と、深々と頭を下げる。

私もその隣で頭を下げた。

床に涙が
水たまりを作るまで…。




ただね、おじさん。

あんなお土産はいらなかったよぉ。


「あのイケメンは彼氏かい?」

「っっ!?」


お母さんの質問攻撃、
ホントに、
ホントに、
凄かったんだからぁ。




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