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4000HIT記念04

「で、誰?」


怪しいヤツなんて微塵も感じなかったけど、
まぁ、ただ、
人ん家の庭に勝手に入ってきた訳だし、
敢えてきつい言い方をした。


「え…っと、私は桃。」


そう名乗った女の子は、
私の棘がある物言いに動揺したみたいで、
目線を泳がせながら1、2歩後ずさり…。

すると、


「痛っっ!!」


っと、悲鳴を上げうずくまる。


「え!?」


私は無意識にその子に駆け寄った。


「何?どうした?」


そう言いながら、目線を合わせるために膝を折る。

その体勢がパパやママが
患者さんの前でいつもしている体勢だと気付いて、
慌てて立ち上がろうとした。

それを押しとどめたのは、


「あ…しが…」


震える小さな声だった。




「あし?」


見るとミニスカートから出ている膝を
きれいにすり剥いている。

しかも、両足。


「あちゃー。こりゃ、痛いわ。」

「う…っっ」


第三者に確認してもらえた安堵からか、
丸いビー玉のような2つの目に
みるみる涙が溜まった。


「ああ、泣かない、泣かない。
 大丈夫、ウチ病院だから。」


慰めるつもりで、
ほらと玄関先に掲げられた看板を指さす。

でもその言葉に明らかに体が固まった。


「び、びょういん?お…おちゅうしゃ、きらい。」


しまった!余計泣かせた!

ど、どうすれば…。


あ、そだ!


「ちょっと、待ってて!ここ、動かないでよ!」


すっかり涙で潤ってしまったビー玉に言い聞かせて、
私は急いでその場を離れた。




シュッ、シュッ、シュ…


「しみる?」

「ううん。平気。」


嘘ばっかり。

消毒液を膝にかけるたび、
小さな拳がぎゅっ、ぎゅっと握られている。

涙こそ乾いてきたけれど、
こんな見事なすり傷、痛いに決まってる。


やさしい嘘…つくんだ、この子は…。


私より小さくて頼りない、こんな子が…。




庭に置いてあるベンチに腰を掛けさせて、
持ってきた救急セットを駆使し、
出来る限りの手当てをしていく。


「あんた、何年生?」


化のう止めを塗りながら聞いてみる。

その言葉にもう、棘は存在しない。


「っと…、4年生。」


ちょっと恥ずかしそうに、女の子が言った。


え!?同級生!?

にしては…


「小さいでしょ?よく低学年と間違われるんだ。」


しまった!顔に出た?


「そ、そう?私がデカイだけじゃない?」


ああ…。

なんて下手くそな…。


きゅっっと唇を噛んだ私を見て、
その子は…
桃は…
クスッと笑った。

そして、


「ありがと。」


と、私の瞳にお礼を言う。


「…」

「どうしたの?」

「ねぇ、ちょっとワンって言ってみて。」

「え?」

「いや…、なんでもない…。」


もう片方の膝にも化のう止めを塗って、
ガーゼの上から包帯を巻き始めた。


ビックリした…。

そっくりなんだもん。


胸のドキドキが手に伝わって、
上手く巻けない。

いつもはもっと器用に出来るのに…。

両膝を白で覆ってしまうのに、
ずい分と時間がかかってしまった。

痛くはなかっただろうかと不安げに見上げると、
そこにはふんわりと柔らかい微笑みが待っていた。


多分、ずっと…。

私がもたもたしてる間、
ずっと…

笑ってたんだ。




それから私たちは
ベンチに並んで座り、
アップルジュースを飲んだ。

木の下で眠る、
親友の近くで…。


チビ…、
アップルジュース好きだったよね。

私が飲んでたら、いっつもおねだりしてきてさ。


「桃。アップルジュース好きでしょ?」

「うん。好き!でも、どうしてわかったの?」

「顔に書いてある。」

「え!?ほんと?」


小さな手のひらををいっぱいに広げて、頬を隠す。

愛らしい反応に、自然と笑みがこぼれた。


このコを傷つけたくない…。


素直にそう思った。


…そっか。

そうなんだ。

優しい気持ちでつく嘘は
嘘じゃないんだ…。

パパもママも
きっと…。




「送っていくよ。家、どこ?」

「えっと…、どこだろう?」

「は!?」




桃はその日散歩に出かけて、
そのまま道に迷ったらしい。

おまけに派手に転んだ。(2回も)

知らない町並みの中
半べそをかきながら歩いていると、
私の泣き声が聞こえて
思わず入り込んでしまった…と。


「…ありえない。」


呆れ顔で住所を聞くと、
そんなに遠くじゃない気が…。

多分、同じ校区内。

地図を持ち出して確認すると、


「近…。」


ここからバス停ひとつ分の距離だった…。




じゃあねと桃の家の前で別れた直後、
自分の名前を言ってないことに気付く。

引き返してもよかったけれど、
私には予感があった。

また、すぐに逢える予感が…。




「起立!礼!」

「「おはようございまーーーす!」」

「着席!」

「おはようございます。
 みんな春休みは有意義に過ごせたかな?」

「「はーーーい!」」

「じゃあ早速ですが、
 今日は転入生を紹介します。
 入って。」

「はい。」


  「おおーーー!女子だ、女子!」

  「かわいくねぇ?」

  「ええ?そう?生意気そうじゃない?」


え…と…、


「自己紹介、出来る?」


…いた。


「北川さん?」

「あ、はい。すいません。大丈夫です。」

「…って、どこ行くの!?」




「私、北川愛未。どうぞよろしく。」

「あっっ!うんっっ!よろしく!!!」


  「ずりぃ!ひとりとだけ握手するなんてさぁ!」

  「なぁに?知り合い?」

  「あの人見知りの白石が笑ってんぞ?」




チビ…、
あの偶然はあんたが起こしてくれたの?

私を悲しませないように。

これ以上、嫌なコにならないように。

ありがとね。

大事にするから、あんたの分まで。

だから、安心してね。

青い空の上で。




あ、でも、
このコがチビに似てるってことは、
あんたと私の秘密だからね(笑)




『あの日、あんたと、出逢った』


 ~END~




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ほのぼのしてて、良かったワン!

愛未ちゃんと桃ちゃんの初めての出会い。
ここから、二人の友情が始まってるのね。
でも、なんか、スタート時と現在と、
まるで変わっていない二人って気が。
愛未ちゃん、小4で既に大人だわ~。
しっかり者だけど、寂しがり屋。。。
やっぱり、お友達になりたぁ~い^^

しかし、飼い犬の代わりだったとは。
鈍感な桃ちゃんは、一生知らずにいるんでしょうねぇ。
by: narinari * 2011/04/20 16:08 * URL [ 編集] | TOP↑

Re: タイトルなし>narinariさま
> ほのぼのしてて、良かったワン!
キューーーン、キューーーン♪
ありがとワンッッ!!!

> 愛未ちゃんと桃ちゃんの初めての出会い。
> ここから、二人の友情が始まってるのね。
本編でちょっとだけ触れた部分が絡んでるんですけど、
…いや、絡んでたハズなんですけど、
もう、どこだったか忘れちゃいました(汗)

> でも、なんか、スタート時と現在と、
> まるで変わっていない二人って気が。
> 愛未ちゃん、小4で既に大人だわ~。
私もこういう冷めたガキでしたw

> しっかり者だけど、寂しがり屋。。。
> やっぱり、お友達になりたぁ~い^^
え?私と?

> しかし、飼い犬の代わりだったとは。
> 鈍感な桃ちゃんは、一生知らずにいるんでしょうねぇ。
そうです。一生気付かないでしょうねw
たとえ、他の皆が知ったとしても。
by: OH林檎@おりん * 2011/04/21 01:52 * URL [ 編集] | TOP↑
















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