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誕生日の奇跡107

―ご来園ありがとうございました―


そう書かれたゲートを抜け、園外に出る。

私たちが最後の客だったようで、
職員がゆっくりゲートを閉じた。

お母さんは感慨深げにその様子を見つめている。


「どうかした?」

「ねーえ、桃…。」

「ん?」

「好きな人出来た?」

「え!?」


聞き間違いなのかと思うほど
さらりと出た言葉に
明らかに動揺した。

それなのにお母さんは
相変わらず動物園の入り口を見たまま…。


「な、なによ!いきなり!」

「ふふ。図星?」


更なる質問に備えて身構えていると、


「行こっか。」


と、私を見て優しく笑った。




最寄りの駅に向かって歩き出す母親に
ドキドキしながら付いてゆく。


愛未にも、海先輩にも、
そしてお母さんにも、
秘めた想いを見透かされてる。

どうしてだろ?

私ってわかりやすい?


信号待ちで立ち止まった途端、
お母さんが顔を覗き込んできた。


「なーに難しい顔してんの?」

「あのさぁ…」

「ん?」

「どうしてわかったの?」


ああ…、今きっと顔が赤いなぁ。


頬の熱さに自分の表情を自覚する。

恋を認めたことになる質問…。

それにお母さんが答える前に
信号が青に変わった。




長い髪を揺らし、
颯爽と足を運ぶ背中を追って
信号を渡る。

横断歩道の白い線が
6月の日差しに反射して
柔らかく光っていた。

半分まで渡ったところで、
ふいにお母さんが腕を絡める。

そして、
残りの半分を歩きながら
こう言った。


「桃、最近きれいになった。
 きれいになって、
 ちょっぴり大人になった。
 原因は恋かなぁって…。

 親としては
 嬉しくもあり、淋しくもある。
 恋は親離れの第一歩だからね。
 だから、ちょっぴり複雑。」

「そんな…。」


どうして今日、動物園だったのか…。

なんとなくわかった気がして
きゅんと切なくなった。

私は腕にぎゅっと力を込め、


「やだ!
 しないもん、親離れなんて!
 ずっと…、
 ずっと側にいるもん!!!」


と、訴えた。

無理なことだと
わかっていながら…。




横断歩道はとっくに渡りきり、
シグナルは赤に変わっている。

駅はもう目の前。

…胸が、痛い。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



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