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誕生日の奇跡87

「こんばんは。」

「お母さん、ただいまー…って、あれ?」


いつもなら
2、3組はお客さんが入ってる時間に誰もいない。

それどころか…


「桃ちゃん、お母さんは?」


お母さんまでいない。

店内は薄暗く、
キレイに片付けられている。


「今日休みなの?」


先輩の言葉にふるふると頭を振った。


お母さん…どうしたの?

学校から帰って店が開いてないことなんて、
一度も無かったのに…。


「お母さんっっ!どこっっ?」


人混みの中ではぐれてしまった時の様な
心細さでいっぱいになり、
店の隅々まで聞こえるほどの叫び声を上げる。

すると、
ガチャリと裏口のドアが開き、


「なぁに?なんて声出してんのよ、桃―!」


と、お母さんがひょっこり顔をのぞかせた。




「お母さん、これ…。」


カウンターにきっちりかけられた布巾を指さす。

それはいつも閉店後に行うものだった。


「ああ、今日ねぇ、
 団体さんの予約が入ってたんだけど
 キャンセルになったのよ。」

「団体さん?聞いてないよ、そんなの。」

「うん。そうなの。
 お昼頃ね、急に決まったのよ。
 で、お店閉めて大急ぎで準備したら…」

「キャンセルされたんですか…。」

「あら、海くん。いらっしゃい。」

「どうも。お邪魔してます。」

「お店、開けないの?」

「もう、疲れちゃった。今日は閉めるわ。」


なんだか、らしくなかった。

そんなことぐらいで、
気落ちするお母さんじゃないのに。


「何人分の予約だったんですか?」


カウンターの中をチラリと見て、
先輩が尋ねた。


「50人。」

「ご、ごじゅうにんっっ!?」


その返事にビックリしたのは私。

だって、この店は
20人入れば満席になる小さい店だったから。


「イタズラですかね…。」


私とは反対に
冷静に言葉を運ぶ先輩。


「う…ん。やっぱり、そうなのかしら。
 まぁ、おかしいとは思ったのよ。
 急に50人なんてね。
 でも、予定してた店が食中毒を起こして、
 急遽、新しい店を探さなきゃいけないって
 泣きつかれてねぇ…。
 立食にするとか、
 時間差で入店するとか言われたし。」

「お母さん、優しいですね。
 桃ちゃんはお母さんそっくりだ。」


そう先輩は
驚きで座り込んでしまった私に微笑んだ。

落ち着いてと言ってるように…。


「ふふ。ありがと、海くん。」

「いえ。」

「座って。お茶でも淹れるわね。」

「あ、お母さん、私がする。」

「そう?じゃ、お願い。
 私はもうちょっと裏を片付けてくるわ。」

「うん。」




お母さんが裏口へ消えた後、


「桃ちゃん、冷蔵庫開けて。」


と先輩が小声で言った。


「?」


意図はわからなかったけど、
急いでと促されて、
観音開きのドアを開けると…


「こ、これ…。」

「…。」


色とりどりの料理が
ギッシリと隙間なく詰められていた。


「50人分だもんな…。」


ため息交じりに先輩が呟いた。


誰にも食べられないで、
消えて行くんだろうか、この料理…。

たくさんの人に手をかけられ、
最後はお母さんに丁寧に料理されたこのコたち…。


「かわいそう…。」


そうは思っても、
どうすればいいか見当もつかない自分が腹立たしかった。


「桃ちゃん。こんな時こそ、アイツの出番だろ?」


先輩はニヤリと笑い、
1本の電話をかけた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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