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誕生日の奇跡58

1時限目が終わって
山本先生が教室から出て行った途端、
海先輩が転がり込むようにして入ってきた。


「も、桃ちゃんっっ!ゆ、優太は?」


先輩の焦る姿になのか、
優太という名前になのか、
教室にいた全員が反応し、
視線が集まる。


「―――!!!」


大勢の“女子の目”にたじろぐ先輩。

みるみる顔が青くなってゆく。


「先輩?廊下、行きませんか?」


血の気が無くなった先輩を促し、
廊下に出た。




廊下を歩く生徒達も
私たちの姿を見て
ヒソヒソと何かを話していく…。


「なんだよ、これ…。」


苛々と顔を歪める先輩。

私は
小森先生が言ったこと、
それから…、
みんなの様子がおかしいことを話した。


「優太のことを噂してんのか…」


チラチラと視線を向けながら
通り過ぎる人たちを
ギロリと睨む先輩。


「多分、そうだと思います。
 …内容はわからないけど。」

「そうか…。」


先輩は頭の中を整理するように
目を閉じた。




次に目を開いたときには、
落ち着いた“先輩”の顔。

その瞳には力強い意志が宿っていた。


「桃ちゃん。聞いて。
 今朝、部室に行ったら、
 メニュー表の材料がかなり無くなってた。
 昨日、プリントした写真も。」

「え!?」

「それと、置き手紙が1枚。」


そこまで言って先輩は
ポケットに入っていた紙を
開いて見せた。




  先輩へ

  材料、何部か持っていくね。
  残りは3人でがんばって。
  一緒に作れなくてゴメン。
  でも、日曜日には
  きっちり仕上げて持っていくから。

  先輩。
  昨日言ってくれたこと、
  嬉しかった。
  ありがとう。
  後は、よろしくお願いします。
  信じてるよ。

         優太




「これ…いつ?」

「昨日ってあるだろ?
 だから、今朝来たんだと思うよ。
 俺が毎朝部室に行く時間知ってるから、
 その前に来て、これを置いていった…。」

「優太くん…なんで?」

「…」


先輩は
動揺して揺れ続ける私の瞳に
膝を曲げて視線を合わせた。

その目は
深い優しさで溢れていて
自然と気持ちが凪いでいった。


「桃ちゃん。
 昨日、俺たちが感じていた通り
 優太には何かが起こった。
 そして、学校に来れなくなった。
 でも、日曜には会える。
 そうだろ?」

コクンと頷く。

「俺たちは、それまでに
 出来るかぎりのことをしよう。
 もし、何かが障害になって
 優太が学校に来れないのなら
 その障害を取り除こう。
 優太を守ろう。必ず。」

「はい。」

「それから…」


先輩は膝を曲げたままの姿勢で
私の両肩に手を置いた。


「みんなの目、桃ちゃんを見てる。」

「え!?」

「優太だけじゃなく、
 君のことを噂してる気がする。」

「―――!?」


凪いだ心が再び波立つ。


「ああいう目、たくさん見てきたからね。
 残念ながら当たってると思うよ。」


どうして?私が?


思い当たることが無い分
余計に焦りが募り
ふるふると体が震えた…。




その震えを止めてくれたのは
先輩の大きな手と、


「守るよ。」


という言葉。

先輩は肩に置いた手にぐっと力を込めた。


「優太は
 君のこと、俺に託したんだ。
 この手紙は、
 それが言いたかったんだと思う。」

「―――!」

「でも、優太に頼まれたからだけじゃない。
 君も優太も、大切な人だから。」


そう言って先輩は、
恥ずかしそうに少し首を傾げた。

そして、もう一度
力強い瞳で私を見つめる。


「だからと言って、
 俺は学年もクラスも違うし、
 四六時中いっしょにいられない。
 ひとりの時は、自分で自分を守るんだよ。
 そして、優太を守って欲しい。」


先輩の両手から
勇気が流れ込んできた。


正直、
自分を守るってよくわからない。

でも、
大切な友達は守りたい。

たとえ、自分が傷ついても…。


「先輩。私…。」


気持ちを伝えようとした時、
2時限目の始まりを知らせるベルが…。


最後に先輩は
私の頭をわざと乱暴に撫でて、


「お昼は美味しいものを食べよう!」


と、ニコッと笑った。




先輩の背中を見送ったあと、
私はぴんと背筋を伸ばした。

前だけを向いて、
教室に入る。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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NoTitle
おおお!!
海くん!!
やるときゃやる男だ、かっこいいっ!
by: いき♂ * 2010/09/24 11:45 * URL [ 編集] | TOP↑

Re: NoTitle>いき♂さま
コメントありがとうございますv-346

> おおお!!
> 海くん!!
> やるときゃやる男だ、かっこいいっ!
ファンが増えつつある海。
これ、嬉しい誤算です。
というわけで、ヘタレキャラだったはずの彼は
どんどんやるときゃやる男にっっ!
優太がいない今、
この話を盛り上げてくれるのは
先生ではなく海?
by: OH林檎 * 2010/09/24 14:12 * URL [ 編集] | TOP↑
















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