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出会いは、やわらかく、あたたかく…4

私は…
男の人が苦手。

特に
同じくらいの年の男の子が。

たとえ、
相手に悪意が無かったとしても、
側に寄られると身がすくみ、
話しかけられると言葉に詰まる。

それが、


「信じられない…」


そんな私が
男の人に手を引かれてるなんて。

しかも、


「2回もあるなんて…」


18年間で一度も無かったことが
同じ日に続けて起こる。

これって…


「運命、かもね♪」

「―――っっ!?」


小さなひとり言に答えが返ってきて、
私は耳まで赤くなるのを感じた。

でも、当の本人は
さっきと変わらない笑顔のまま。


そういうこと、
女の子に言い慣れてるのかな?

愛未も言ってたけど、
すっごくモテそうだし…。


「…。」


茶色の髪が陽に透けて
きらきら輝いていた。

その輝きと逆行するかのように、
私の心は不安で陰っていく。

愛未が心配していたことが、
現実になってしまうかも…。

経験からくる恐怖は
じわじわと広がっていった。




「さぁ、着いた!
 ここが食物学科の教室だよ。」


廊下の端で、優太くんが言った。


「桃ちゃんは白石だからAクラスだよね?」

「う…うん。」

「ふふ。良かった♪」

「え?」

「さぁ、入ろっか!」

「ええっっ!?」

「最初が肝心だから、
 一発、やっっちゃうよぉ♪」

「な、なに言って…―――」


優太くんは私に
ぱちっと一回ウインクをして、
教室に入ろうとする。


「ちょ、ちょっっと待って!
 ここでいいですからっっ!
 中まではいいですからっっ!」

「ん?」

「送って頂いてありがとうございました。
 も、もう、大丈夫ですから―――…」

「そ?
 それは良かった。
 でもさ、
 僕もこのクラスなの。」

「へ?」

「だから…」


優太くんは何だかとっても嬉しそうな顔で
教室の扉を開けた。




う、うそ!?
同じクラス?
あ、中村だから。
って、そこじゃ無くて、
いや、そこも気になるけど、
手!
手!
握ったままだから――――っっ!




と、言いたいのに、
ひと言も発することのできない私は
口をパクパクさせながら
優太くんに後ろに立っていた。

否応無しに
クラス中の視線が集まってくる。

それは、
好奇と嫉妬の入り混じった視線。

すると優太くんは
何もかもを吹き飛ばすような
元気いっぱいの声で、


「僕の名前は中村優太。
 こっちのちっちゃい子は
 この学校で出来た一番目の友達、
 白石桃ちゃん。
 僕は友達を大切にする男だから、
 迷子になってた子猫ちゃんを
 エスコートしてきましたー♪」


と言って、
繋いだ手を高々と上げた。

その屈託のない笑顔に
どこからともなく
クスクスと笑いが起こる。

そしてさらに、


「2番目の友達も、
 3番目の友達も募集中だから、
 ヨロシクねーーー♪」


そう、
とびっきりキュートな笑顔を
クラス全員に振り撒いた。

途端に
さっきまでの射すような視線が
柔らかいものに変わる。

壇上に立っている、
恐らくクラス担任の先生までも
破顔している。

お陰で、
遅刻のお小言は
ほんのちょっぴりで済んでしまった。




私は前から3番目の中央の席、
優太くんは一番後ろの窓際の席。

それぞれの席に向かって歩き出し、
優太くんの手も離れていった。


「これからよろしく、桃ちゃん。」


耳元に
優しい囁きを残して…。




誰もが緊張する入学式の日。

このクラスは
笑顔で溢れていた。

優太くんを中心にして。


「桃ちゃん、ヨロシクね!」

「桃ちゃん、入学早々大変だったね(笑)」


私にもどんどん声がかけられる。


「うん。こちらこそ、ヨロシクね!」

「どうもありがとう!」


私もどんどん返事をする。

そしていつの間にか、
笑顔の輪の中に入っていた。




あの言葉…


「2番目の友達も、
 3番目の友達も募集中だから、
 ヨロシクね♪」


あれはきっと、
私に気を使ってくれたんだ…。


振り返って
優太くんの席の方を見ると
優太くんも私を見ていたのか
ごく自然に目が合った。


胸がドクンと大きな音を立てて、
思わず逸らしそうになったけれど、
どうしても…


私は優太くんの瞳に向かって
唇だけで「ありがとう」と言う。

できるかぎりの笑顔とともに…。

優太くんはなぜか
びくっと驚いた顔をしたけれど、
それはほんの一瞬で
すぐにとびきりの笑顔と
ウインクを返してくれた。




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出会いは危険な大人の香り…3

「あ、あの、どこに?」

「…」


並木道を足早に歩く。

さっき会ったばかりの
名前も知らない男の人に手を引かれて…。




持たれた左手の先端、
煙草の灰が当たった人差し指は
ズキズキと火傷特有の痛みがした。

でも、
大きな手で握られた手首の方が
何倍も何十倍も熱かった…。








「ああ、行っちゃった…。」

「うん。行っちゃったねぇ。」

「教授がさっさと出て行かないからですよ!」

「だって、まさか
 桃ちゃんが来るとは思わなかったんだもん。」

「だから、何者ですか?その、桃ちゃんって。
 さっきのチビっこいコでしょ?」

「チビっこいって君が言うかね?(笑)」

「…教授、怒りますよ。」

「おおーーー、怖っっ!」

「って、逃げんな!」

「逃げじゃない。攻めだ。」

「は?」

「ミユ、計画をBパターンに変更する。」

「はぁぁぁ?」

「ほら、行くぞ!」

「待て、こら、じじぃ!
 あと、ミユって言うなっっ!」








歩を進める視界の端に、
ふたつの白い影が見えた。


あの野郎ども、
やっぱり隠れていやがったな。


すぐにでも
ぶん殴ってやりたい気分だが、
今の優先事項は…


「入れ。」

「え?」

「いいから。」

「あ、はい。」


まるで小動物だ。

おどおど部屋を見回して…。




すべてが癇に障る。

…何よりも、
あんな手にまんまと引っ掛かった、
自分に腹が立つ。

あれは…
もうダメだろう。

ただし、
ホンモノであれば、だが。








ここは、
医務室?

カーテンで仕切られたベッドと
消毒薬の臭いが
それを証明していた。




「そこに座れ。」


窓際に置かれた机の前には
ふたつの椅子。

背もたれが有るものと
無いもの。

私は背もたれの無い方を選択し、


「ありがとうございます。」


と、座った。

ここまで来るとさすがに
この男性がしようとしている事がわかって、
静かに指示を待つ。

ふと、握りしめたままだった
花びらの存在が気になった。

正面の壁に置かれた棚から
薬を取り出す後ろ姿を確認して、
そっと右掌を開いてみる。


よかった。
きれいなままだ。


折れたり千切れれたりしていないことに
ほっと胸を撫で下ろし、
急いで
胸ポケットに入れてある生徒手帳に挟む。

元の位置に手帳を入れたのと同時に
男性が振り向いた。


見られて、ないよね?


何となく、
あの花びらをしまったことは
秘密にしておきたかった。


だって…
唇についてたんだもん、このコ。

そんなものを後生大事にしまうって
気持ち悪がられちゃうよ。


私は胸ポケットをそっと押さえて、
もう一度その存在を確かめた…。








消毒薬を藥棚から取り出した所で、
ガラスに女の不審な行動が映し出される。


何をやっている?


じっとこちらを見たかと思えば、
手帳らしきものを取り出し、
何かを挟んだ。


何か…

あの、桜の花びらか?


一連の作業が終わると、
ホッとしたような顔で微笑む。

胸ポケットを押さえて…。




変な、ヤツだな。




それが、
俺とアイツの出逢いだった。




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その唇、塞いでやる…(仮題)

「なぁ、明日俺7時起きなんだわ。
 だからさ、悪りぃけどお前、
 朝、電話で起こしてくれよ。」

「ああ、うん。いいけど。
 仕事?」

「まぁな。
 自分のっつうより、他んヤツの穴埋め的な?」

「そうなんだ。大変だね、がんばって。」

「おおよ。
 お前のがんばっては、マジがんばれるわw」

「そ、そぉ?(///∇//)」

「ああ。じゃあ、な。明日頼むわ。」

「うん。おやすみ。」

「おやすみ。」








―翌朝、7時―




ピンポーーーーン




「っったく、誰だよ?こんな朝っぱらから(怒)」




ガチャッッ…




「!?」

「お、はよ。」

「は?おはよって何やってんだ、お前?」

「あ、あのぉ…モーニングコール、みたいな?」

「モーニングって、電話でいいっつって言っただろ?」

「う、うん。わかってるよ。でも―――」

「でも、何だよ?お前も仕事だろ?
 どぉすんだよ、こんなとこまで来ちまって。
 間に合うのか?」

「…―――たかったんだよ。」

「は?」

「がんばってって言いたかったんだよ!!!
 直接!顔を見て!」

「っっ―――!?」

「だって、夕べ言ってくれたじゃん!
 お前のがんばっては、マジがんばれるって!
 だから…、
 電話じゃ無くて直接言ったら、
 もっともっとがんばれるんじゃないか―――っっ!?」

「ばっかやろ…」

「…く、くるしいよ」

「我慢しろ。
 そんなこと言われた俺の方が何倍も苦しいっつうの…」

「…?」

「お前帰したくなくて…、
 ずっと可愛がってやりたくて…、
 どうしようもなくなっちまうだろうが!」

「//////」








「良かったの?仕事?」

「良いか悪いかで言ったら…」

「言ったら?」

「悪い。」

「ぷっっ!」

「火ぃつけた、お前が悪りぃんだからな。
 責任取れよ。」

「責任?どうやって?」

「こうやって…」

「ん、ん…―――」




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出会いはサイテー、サイアクで…3

やっぱりというか、
案の定というか、
愛未と別れてすぐに
…迷子になった。


どうして学校っていうのは
こうも似たような建物ばっかりなんだろう!


背表紙が全体の見取り図になっている
学校案内とにらめっこをしながら、
自分の残念さは棚に上げてしまう。

統一感のあり過ぎる学校は
小さい頃流行った巨大迷路級に難解だった。


「やだ、ホントにわかんない…。」


入学早々、迷子→遅刻
という図式が頭に浮かび、
気持ちだけが焦る。

とりあえず、動かないよりは良いかもと、
歩いてはみるものの…、


「ここ、さっき来たよ…。」


建物に入ると、
さすがに違うとわかってガックリ肩を落とす。


「もぉ、ダメかも…。」


気持ちのほとんどが折れかけた時、
視線の先に人影が見えた。

足早にどこかに向かっている。


「そ、そうだ!」


―わかんなかったら人に聞くんだよ―


愛未の言葉を実行するのは
今しかない!

迷子になってから
全然誰とも会わなかった。

これを逃したら、
迷子→遅刻=クラスに馴染めない
って事になっちゃうかも知れない!


私は急いで
人影を追いかけた。




「はぁ…はぁ…」


足早に歩を進める人影に追い付くには、
走るという選択肢しかなく、
苦しい呼吸の中、
あることがスッポリ抜けていた。

それは
人影が人に変わった頃、
ようやく頭の中に戻ってくる。


あ…れ?
制服の下、パンツ…。

って、ことは…


それに気付き、
自分の動きにブレーキをかけた途端、


「ん?僕に何か用?」


同じブレザー、
同じ色のタイ、
でも…


「君も遅刻しそうなの?」


違う性別の“彼”が
振り向いた。




「僕以外にいたんだ。
 入学早々遅刻しちゃう人。」


私に歩み寄りながら、
くすくすと笑う。

きれいな二重に
形の良い眉。

テレビの中で見るアイドルよりも
アイドルらしい整った容姿。


「ふふ。
 もうバックレちゃおっか、ふたりで♪」


サクランボのように艶やかな唇に
人差し指を当て、
きゅっと片目をつぶってみせる。


「あ、あ…あの…」

「ごめん、ごめん!
 怖がらせちゃった?」

「―――…いえ」


俯き、発した声は
自分でも驚くほど小さな擦れた声。

それでも、
やっとの思いで出した声だった。




私は…
男の人が苦手。

特に
同じぐらいの年の男の子が。

たとえ、
相手に悪意が無かったとしても、
側に寄られると身がすくみ、
話しかけられると言葉に詰まる。

そう…、
今みたいに。


「…?」


追いかけるんじゃなかった。

きっと私、
赤くなったり、青くなったり、
ヒドイ顔してる。

しかも、
黙り込んじゃうし…。

困ってる…よね。


上目づかいで、
ほんのちょっとだけ
彼を見た。


「―――!?」


そこに待っていたのは、
陽に透けて
きらきら輝く茶色の髪と
心底心配そうな瞳…。


その瞳は、


大丈夫?


と語っていた。




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出会いは、やわらかく、あたたかく…3

「ふ~ん…。
 それが、神聖なる聖堂に
 手を繋いで入ってきた理由?」

「う、うん。」

「…要するに、
 入学早々ナンパされたってことだ。」

「ち、違うよぉ!
 ただ遅刻しそうになってたから…」

「しそうに…、じゃなくて
 バッチリしてたけどさ、遅刻。
 しかも遅れたうえにド派手な登場で
 あんた今、学校一の有名人だからね。」

「ええええ―――っっ!?」


そう言えば、
すれ違う人たちの視線が痛いかも…。




私の名前は白石桃。

聖マリアンヌ短期大学食物学科1年
…になったばかり。


「よりにもよって、
 あんな女子に人気が出そうな男と…。
 不安だ、すっごく。」


と、隣で唸ってるこのコは
同短期大学看護学科1年の
北川愛未(まなみ)。

愛未は小学生の頃からの大親友で
私のことなら何でもわかってる心強い存在だ。

愛未が心配してるのはきっと、

“私がイジメられないか”

ってことだと思うんだけど、


「大丈夫だよ。
 食物学科に男子はいないだろうから、
 他の学部でしょ、あの人は。」


この聖マリアンヌ短期大学は
食物学科と看護学科からなっていて、
広大な敷地内には
聖マリアンヌ医科大学と
聖マリアンヌ医科大学病院も併設されている。


「男の子だし医学部かも!
 だからもう、会うこともないよ。」

「いや、
 会う会わないが問題なんじゃ無くて…。
 …まぁ、
 会わない方が良いに決まってるけど…。」


愛未はそこまで言って、
黙り込んでしまった。




腰に届く程のストレートの黒髪が
春の風によって優雅になびいている。

眉間に皺を寄せた表情も
エキゾチックでハッキリとした
目鼻立ちのせいか
どこか色っぽい。


ホント、
同じ18歳とは思えないな…。

制服も似合ってるし。


紺色のブレザーに
グレーのプリーツスカート。

カトリック系の学校らしい
清楚なデザインの制服なのに
愛未が着ると
おしゃれな服に見えるから不思議だ。


「愛未…?」

「…」


考え込んだままの親友は
2人が共に歩んできた『歴史』を
遡っているのかも知れない。

それは、

私が泣いて、
愛未が怒る、

そんな歴史…。

同じ学校に入学したけれど、
愛未は3年制の看護学科、
私は2年制の食物学科。

今までの様に
べったりっていう訳にはいかない。

それに看護学科は
かなりタイトなスケジュールだと聞いている。

私を気にかけている時間など
無いだろうし、
作らせてはいけない。

だからこそ、
今日の入学式も
迎えに行くと言う愛未の申し出を断って
ひとり門をくぐったのだ。


…結局、
遅刻しちゃったけど。




「愛未、そろそろ行かなきゃ。」

「ああ、うん。
 もうそんな時間か。」


入学式が終わって、
教室でのオリエンテーションまで20分。

聖堂から出てきたところを
愛未に呼ばれて、
中庭のベンチに座った。


「桃、大丈夫?
 教室の場所、わかる?」

「もぉーーー!
 愛未、心配しすぎ!
 さすがに私も
 学校内で迷ったりしないから!」

「…説得力無いけどね、それ。」

「う…」




「迷ったら人に聞くこと!」


そう念を押して、
愛未は中庭の向こうに消えて行った。

その姿を見送って、
バッグの中から学校案内の冊子を取り出す。

冊子の背表紙が
学校全体の見取り図になっていた。

くるくると回しながら、
向かうべき方向を確かめる。


「え…っと、中庭がココだから、
 食物学科の教室がある棟は…」

「あっちだね♪」

「え!?」


聞き覚えのある弾むような声。

はっ!と顔を上げると
満面の笑顔で
地図が示す方向を指差す…彼がいた。




「中村…さん?」

「そうじゃなくて、優太。
 同じ学年だって言ったでしょ?」

「…優太、さん?」

「優太。」

「優太…くん」

「うーん。ま、いっか。じゃ―――」
 


と、当り前のように手を取った。




で、で、で、でじゃヴ!?


驚く私に、


「オリエンテーションまで
 遅刻しちゃまずいでしょ?」

「!」


のひと言。


それは、
そうなんだけど…。

すごく正論なんだけど…。




中庭を抜け、
彼―優太くん―が指差した方向に走る。

手をしっかりと握られたまま…。




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