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誕生日の奇跡+海with愛未

「先に謝っとく。
 今日、桃ちゃんを送ってくつもりが
 長話に付き合わせちゃったんだ。
 それで、あの事態に遭遇した。」

「ふーーーん。
 まっ、いいんじゃない?
 桃も元気そうだったし。
 で?何の話?
 おもしろい話なら聞かせてよ。」

「…おもしろくはない。多分。」

「なら、いい。」


ママの店を出て、駅までの道を2人で歩く。

この、ふたつ年下の北川愛未は
俺に敬語というものを使わない。

最初は腹が立ったけど、
今では何も感じなくなった。


「ところで愛未。例の吉報は?」

「明日報告するって言ったじゃん。」

「そうだけど…、気になる。」

「今、作業中。
 結果は明日学校に来ればわかる。
 説明もちゃんとする。」


前言撤回。

やっぱり、もう少し先輩を敬え!


勘の鋭い隣の女は
俺のムッとした気分を察してるはずなのに、
お構い無しに歩みを進める。

強えー女。

儚げな桃ちゃんとは正反対だな。


「ねぇ。さっきの話なんだけど。」

「…」

「ねぇ?無視ってんじゃないわよ(怒)」


結局、俺が折れるんだよなぁ。

聞えよがしにため息をついて、
愛未の話に乗ってやる。


「…なんだよ。」

「佐伯教授の話よ。
 あんた、気にならない?」

「気になってるよ。かなりね。」

「洋子ママは100%イイ人だからねー。
 教授に確認なんて…」

「しないよ。1ミリも考えないよ、そんなこと。」

「だよね。
 私なら、速攻してるんだけど。」

「俺も(笑)」

「で、イタズラってわかっておしまいみたいな。」

「そうそう。」


嫌々、受け応えしてやるつもりが
いつの間にか本気の会話になる。


「なんで、佐伯教授なんだろ…。」

「だよな。そこが気になるんだ。
 紹介は嘘でも、
 知り合いではあるのかも知れないな。」

「うん。」


こういう所に疑問を持つところ…、
視点が似てるんだ、こいつとは。


「明日、本人に聞いてみるか?」

「そうねぇ。それも手だけど…。
 恐らく明日には教授の耳に入ると思う。」

「は?誰経由で?」

「桃。」

「はぁ!?」

「正確に言うと、
 桃→ある人物→佐伯教授なんだけど。」

「…ちょっと待て。
 俺、わかっちゃったかも。」

「へぇ。やるわね。」

「まぁね。」


愛未は
なんだか嬉しそうに目を細める。

その瞳は

“さすが私の選んだヤツ”

って言ってる気が…。


ん?

まてよ。

それって、自分を褒めてるんじゃん!


月を見上げ、長い髪を揺らす。

黙ってればきっと、
イイ女なんだろうけどな。


自信過剰で
女のくせに俺様なヤツ。

でも、
…嫌いじゃない。

嫌いじゃないんだ。


「さすが、愛未様だな。」


今日は特別に持ち上げてやるか。

良い夜にしてくれた
ご褒美ってことで。


愛未は立ち止まり、
月から俺に視線を移す。

そして、
満足げに微笑んだ。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡90

50人分あった食べ物は
1時間もしない内にキレイに無くなった。

勇者たちの胃袋の中に…。


「いいのよ、そんなことしてくれなくても。」

「いえ。これは
 作ってくれた方へのありがとうの気持ちですから。」

「そうそう。ママさん、気にしないで。」

「私たち、この店すっごく気に入ったんです。」

「絶対、また来ます。
 学校の近くにこんな美味しい店があったなんて!
 友達も連れてきますね。」


そう言って、食べ終えたお皿を
次々とカウンターに積み上げていく4人。

動かされていた椅子やテーブルも
きちんと元の場所に直された。


「キッチンは聖地ですから、
 僕たちが出来るのはここまでです。
 申し訳ございませんが、後はお願いします。」

「とんでもない。
 みなさん本当にありがとう。
 私、なんて言うか…とても感激したわ。
 捨てるしかないなって思ってたのに
 あんなに美味しそうに食べてくれて、片付けまで…。
 また是非、来て下さいね。
 超超超大盛りメニューでお迎えしちゃいますから!」

「ママさん…。
 私、食べて感激されたの初めて。」

「そうそう。
 どっちかっていうと迷惑がられる方だから(笑)」

「そのいたずら電話かけたヤツに感謝かも♪
 あ…、やっぱり許せないか?」


柔らかい空気が店内を包む。


良かった…。

お母さんも嬉しそう。


「みなさん。
 そして、愛未に先輩。
 本当にありがとうございました。」


私は6人に向かって深々とおじぎをした。


いたずらした人は許せないけど、
私には助けてくれる友達がいる。

新しい出会いもある。


顔を上げると、
みんなの笑顔が待っていた。


人って、いいな。

人って、あったかい。


じゃあ、そろそろ…と4人が出ていこうとした時、

「まだ、残ってるっっ?」

と、ひとりの男性が飛び込んできた。


「ボブーーー!!!」

「遅いよっっ!」

「残ってるわけ無いでしょ?」

「ていうか、もう帰るとこだし(笑)」


ボブと呼ばれているその男性は、
ぜいぜいと息を切らせながら、
大いに残念がった。

その反応を見て、
なぜか顔を見合わせる4人。


「でも…」

「私たちにとっては…」

「遅れていただいて…」

「よかった…なんてね(笑)」


わけが分からず愛未を見ると、
笑いを堪えながら説明をしてくれた。

ボブさんは大食い界の新星で
只今、食べ盛りの伸び盛り。

この人が勢い付けば
今日の料理ぐらいなら1人で完食できるかもと。


「だからね、
 4人にとっては脅威なのよ、この人は。」

「そ、そうなんだ…。」


あの、4人よりすごいって…(汗)


「脅威って、
 僕、愛未さんには一度も勝ってませんからっっ!」

「え!?」


今、なんて?




肩を落としたボブさんをなだめる様に
帰っていく4人。

それを、


「じゃあ、また。」


と、クールに見送る愛未。


こんなに長い間いっしょにいたのに、
まだ知らない愛未があるんだ…。


人って、謎。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



誕生日の奇跡89

「私が参戦するまでもないか。」


4人を前に満足そうに頷く愛未。


「お、お母さん…。」

「す、すごいわね…。」


そこには、
未だかつて私たち親子が目にしたことが無い
“ありえない光景”が繰り広げられていた。








「こんばんは。いきです。」

「みいと言います。」

「菜莉です。よろしく。」

「水聖(みさと)です。こんばんは、桃ちゃん!」


いきさんと名乗った人以外は女性。

その内1人はクラスメイトだった。


「み、みさとちゃん?どうして?」

「ふふふ。クラスのみんなには内緒ね♪」

「愛未、どういうこと?」

「見てればわかるって。
 じゃあみんな、好きにいっちゃって。」

「いっ…ちゃって…?」


その疑問は
直ちに解決することになる。




「こっち全部いっちゃっていいかしら?」

「そうだねー。移動するのも面倒だから、場所で区切ろうか。」

「あー、私、から揚げゾーンいきたいっっ!!!」

「じゃあ、あなたはソッチね。
 私は、コッチの炭水化物とデザートゾーン♪」


4区画にそれぞれ分かれて、一斉に…


「「「「いただきまーーーす!!!」」」」


キレイに合掌をする。

その途端、次々と消えて行く食べ物。

それは、魔法の様。

でも、


「う、うまいっっ!このハンバーグ!!!」

「おでん、味染みてるーーー!!!」

「から揚げも冷めてるのに柔らかいよぉ!!!」

「卵焼きが入ってるサンドイッチって初めて!
 ハマるよ、これ!!!」


みんなすっごく美味しそうに食べる。

無理な早食いや大食いとは違う。

食べ物が好きで、
食べることが好きで、
作った人に感謝を忘れない。

そんな思いが伝わってくる。


「生で見ると圧巻だ…。」


さっきまで涼しい顔をしていた先輩も
さすがに驚きを隠せない様子で、


「ビデオカメラ持ってくればよかったよ。」


と、本気の呟きをして皆を笑わせた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡88

「お母さん、作ったもの捨てないでもらえます?
 それと、あともう少し帰らないで下さい。」


これは、
お母さんが片付けを終えて帰ってきた途端、
先輩が言った言葉。

私にもよくわからないんだけど、
先輩が電話した先はたぶん愛未。


「やだぁ。海くん、冷蔵庫見たの?」


手を洗いながら、
お母さんが困った顔をした。


「すいません。勝手しました。」

「別にいいんだけど。
 心配するでしょ、必要以上に。」

濡れた手で指さした先は私。

湯気をくゆらせるハーブティの前で
唇を尖らせて反論する。


「心配するよぉ!当り前でしょ?
 50人分作るなんて、すっごく大変だったろうし。」

「そうねぇ…。
 正直言うと、久しぶりに精も根も尽き果てたって感じ。
 美味しそうに食べてくれることが一番嬉しい商売だから。」


そう言うとお母さんは
先輩の隣に座って、ハーブティにはちみつをたっぷり入れた。

それを何度か口に運ぶのを待って、
先輩が話しかける。


「お母さん。ちょっと気になったんですが…」

「なぁに?海くん。」


頬杖をつき、先輩を見つめるお母さん。

疲れた表情が逆に色っぽい。

娘の私から見てもどきっとした。

先輩は…


「え、えーーーっと…あの…」


少し視線を外し、話を続けようとする。


耳たぶ、赤い。

照れてるんだ、先輩(笑)


「予約なんですけど…」

「ん?」

「電話があったんですよね?」

「そう。」

「女性でした?男性でした?」

「女性よ。若い声だったわ。」

「名前は言いました?」

「田中って言ったわね。」

「田中…。覚えがある名前ですか?」

「よくある名前だからねー。
 でも、声に聞き覚えは無かったな。」

「それなのに、予約取ったんですか?
 いくらお母さんが良い人でも…」

「…海くん、ミステリーファンでしょ?
 私が好きな英ちゃんばりに勘が鋭いわね(笑)」

「え、えいちゃん?」

「先輩。
 お母さんは船越英一郎さんのファンなの。」

「あ…。それで英ちゃん…。」

「優しそうなところが良いのよねぇ…。
 って、なんだっけ?
 あ、そうそう。
 あのね、予約の電話の時に
 佐伯教授の紹介でって言ったのよ、その田中さん。」

「「えっっ!?」」


佐伯教授!?


驚いて先輩と顔を見合わせた時、


「こんばんはーーーー!!!!」


威勢のいい声とともに愛未が店に入ってきた。




「洋子ママ、料理ジャンジャン並べてっっ!
 ほら、桃も海も手伝って!」

「え?な、なに!?」

「どうしたの?愛未ちゃん!?」


さっきの驚きもそのまま、
愛未の勢いに捲し立てられ席を立つ。

その中で先輩だけ、


「集まったんだ。」


と、涼しげに微笑む。


「あんた、知ってたんだ。」

「まぁねぇ。
 どこに行っても愛未の名前があったからさ。」

「それだけで?」

「他にもいくつか、よく見る名前があった。」

「ふふ。やるわね、海。」

「ふふーーーん。
 推理力は愛未に負けないつもりだよ。」


なに?

このふたりの会話…。

ちんぷんかんぷんなんですけどぉ…(汗)


そこに、


「愛未さん、来ましたよー♪」

「失礼しまーーーす!」

「うわっっ!おいしそう!!!」

「お誘いありがとうございます!」


4人の勇者がやってきた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡87

「こんばんは。」

「お母さん、ただいまー…って、あれ?」


いつもなら
2、3組はお客さんが入ってる時間に誰もいない。

それどころか…


「桃ちゃん、お母さんは?」


お母さんまでいない。

店内は薄暗く、
キレイに片付けられている。


「今日休みなの?」


先輩の言葉にふるふると頭を振った。


お母さん…どうしたの?

学校から帰って店が開いてないことなんて、
一度も無かったのに…。


「お母さんっっ!どこっっ?」


人混みの中ではぐれてしまった時の様な
心細さでいっぱいになり、
店の隅々まで聞こえるほどの叫び声を上げる。

すると、
ガチャリと裏口のドアが開き、


「なぁに?なんて声出してんのよ、桃―!」


と、お母さんがひょっこり顔をのぞかせた。




「お母さん、これ…。」


カウンターにきっちりかけられた布巾を指さす。

それはいつも閉店後に行うものだった。


「ああ、今日ねぇ、
 団体さんの予約が入ってたんだけど
 キャンセルになったのよ。」

「団体さん?聞いてないよ、そんなの。」

「うん。そうなの。
 お昼頃ね、急に決まったのよ。
 で、お店閉めて大急ぎで準備したら…」

「キャンセルされたんですか…。」

「あら、海くん。いらっしゃい。」

「どうも。お邪魔してます。」

「お店、開けないの?」

「もう、疲れちゃった。今日は閉めるわ。」


なんだか、らしくなかった。

そんなことぐらいで、
気落ちするお母さんじゃないのに。


「何人分の予約だったんですか?」


カウンターの中をチラリと見て、
先輩が尋ねた。


「50人。」

「ご、ごじゅうにんっっ!?」


その返事にビックリしたのは私。

だって、この店は
20人入れば満席になる小さい店だったから。


「イタズラですかね…。」


私とは反対に
冷静に言葉を運ぶ先輩。


「う…ん。やっぱり、そうなのかしら。
 まぁ、おかしいとは思ったのよ。
 急に50人なんてね。
 でも、予定してた店が食中毒を起こして、
 急遽、新しい店を探さなきゃいけないって
 泣きつかれてねぇ…。
 立食にするとか、
 時間差で入店するとか言われたし。」

「お母さん、優しいですね。
 桃ちゃんはお母さんそっくりだ。」


そう先輩は
驚きで座り込んでしまった私に微笑んだ。

落ち着いてと言ってるように…。


「ふふ。ありがと、海くん。」

「いえ。」

「座って。お茶でも淹れるわね。」

「あ、お母さん、私がする。」

「そう?じゃ、お願い。
 私はもうちょっと裏を片付けてくるわ。」

「うん。」




お母さんが裏口へ消えた後、


「桃ちゃん、冷蔵庫開けて。」


と先輩が小声で言った。


「?」


意図はわからなかったけど、
急いでと促されて、
観音開きのドアを開けると…


「こ、これ…。」

「…。」


色とりどりの料理が
ギッシリと隙間なく詰められていた。


「50人分だもんな…。」


ため息交じりに先輩が呟いた。


誰にも食べられないで、
消えて行くんだろうか、この料理…。

たくさんの人に手をかけられ、
最後はお母さんに丁寧に料理されたこのコたち…。


「かわいそう…。」


そうは思っても、
どうすればいいか見当もつかない自分が腹立たしかった。


「桃ちゃん。こんな時こそ、アイツの出番だろ?」


先輩はニヤリと笑い、
1本の電話をかけた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

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