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誕生日の奇跡65

授業開始まであと5分というところで
愛未と講義室に入った。

先生はいつも時間ピッタリにやってくる。


それまでに、
少し落ち着かなくっちゃっっ!


今日の授業前のドキドキはいつも以上。

やっぱり、
先生の部屋で過ごしたあの時間のせいだろうか。


静まれーーー、心臓!!!


その意思に反して、
胸の高鳴りは大きくなってゆく…。




教科書やノートを広げて、
平常心を呼び込もうと努力してると、
愛未が耳元で囁いた。


「おかしい…。みんな桃を見てる。」

「え!?」


顔を上げ、
講義室にいる生徒に視線を向けると
一様に慌てた様子で目を逸らす。


な、なに?


「ま、愛未っっ!
 私、変なモンでもついてる?
 背中に張り紙とか?」

「いや…。そういう系じゃないと思うよ。」

「じゃ、じゃあ…」


一体、なぜ?

そういえば先輩も、

―みんなの目、桃ちゃんを見てる―

そう言ってた…。




神経を周りに集中する。




「あれよ、あのコ。
 あのコが―――――…」

「ああ。どうりで――――…。
 先生にも初日から色目使ってたじゃん。」


切れ切れだけど、
誰かのことを噂する声が聞こえた。




誰か…


ワ、ワタシ!?




さらに、声の発信元は一か所ではなく、
講義室の至る所であるとわかって、
全身が氷のように冷たくなった。




「なんなの…一体。」


愛未が悔しそうに呟いた時、
始業のベルと共に
先生の姿が現れた…。




教卓に教科書や資料を置き、
髪を煩そうにかき上げる…。

いつもと同じ動き。

そして、
何度見ても美しい動き。

瞬時に誰もが釘づけになる。




そのあとは、


「始める。」


という先生の声で静かに授業に入る。


…いつもなら。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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誕生日の奇跡64

楽しい時は
あっという間に過ぎると言うけど、
何かを考えている時は
もっともっと早く過ぎてゆく。

それが難題になればなるほど…。




「ああ、こんな時間だ。
 トレイ戻しに行こっか。」


携帯を確認した愛未が立ちあがった。


「え?もう?」


先輩も腕時計を見る。


「…時間が欲しいな。」

「そうね。考える時間がね。」




辛い時間を過ごしている優太くんの時は
永遠かと思うぐらい
ゆっくり
ゆっくり
流れているんだろう…。

孤独な時間の中にいる友を
早く救い出したいと
心ばかりが焦った。




確実に優太くんに会える日まで、
今日を入れて、あと3日。


なんとなく、

“それまで優太くんには会えない”

そう、みんな思っている。


“連絡すら取れない”

そんな予感がする。


だからこそ、用意したい。

優太くんを笑顔にできるプレゼントを。


次に会うときには
曇りの無い優太スマイルを
絶対、
絶対、
ぜーーーーったい、見るんだっっ!!!








トレイを返して、
カフェの前で2人と別れようとしていたら、


「桃、行くよ。」


と、愛未。




教室にはひとりで戻れるのに、
どうして?




首を傾げていると、


「次は隠れカメラマンの授業でしょ?
 また、怒られたいの?」


そう言って、ズンズン歩いていく。




そ、そうだった!

今日はせんせいの授業の日だ!!!




優太くんへのオモイと
先生へのオモイで
私の胸は早鐘を打った。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡63

「とは言っても、
 何も知らない!じゃ話が進まないから
 手短に説明するね。」

「は、はい。
 お手間かけます!!!」


私は背筋を伸ばし、
聞く体制を作った。

先輩も私につられたのか、
ピンと姿勢を正す。


「富田はるか。
 看護学科2年。
 父親は製薬会社社長。
 そして、ここの卒業生。
 現在は、わが校に多額の献金を行ってる。

 どう、桃?
 キナ臭くなってきたでしょう?」

「…ど、どのへんが?」

「――――…

 続ける。」




もしかして今、呆れた?(汗)




「富田はるかは、
 多額の寄付金とともに
 鳴り物入りで入学。
 どんだけの箱入り娘かと
 蓋を開けてみたら、
 “頭は無いけど金は有る”
 いちばん厄介なヤツが出てきた。
 生徒はもちろん
 教師も逆らえない。
 逆らうとココにはいられない。」


そこまで聞いて、
朝、優太くんことを皆に知らせた
小森先生の顔を思い出した。

とても、悲しそうな顔…。


「桃、そんな顔するのは
 まだ早いよ。」




ど、どんな顔してる、ワタシ?




「富田はるかはね、
 金持ってるバカってだけなら
 まだ良かったんだけど、
 世の中の男すべてが
 自分のものだと本気で信じてる、
 超特大の勘違い女だったの。
 もし仮に
 思い通りにならない男がいても
 親と金と体で…。

 ああ…、
 これ以上桃には聞かせたくないなー…。

 まぁ、つまり
 自己中の男狂いってことよ。
 ね?最悪でしょ?」




親と金と、

から…だ?




「もーーーもっっ!!!
 変なこと想像しないでっっ!!!
 かわいい桃が汚れるっっ!!!」




愛未、もう遅いよ…。

私、
汚れちゃった(涙)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡62

「さぁ、どうしたもんかなぁ…。」


ずっと頭を抱えていた先輩が
ようやく顔をあげて言った言葉は、
どこか他人事で…
“いつもの先輩”らしくないものだった。


愛未も、


「そうねぇ…。」


と、調子を合わせただけ…。


どうしちゃったの?
ふたりともっっ!!!


「ね、ねぇ!なんとかしようよ!!!」


いつまでも何もしようとしない
先輩と愛未に痺れを切らせた私は、
涙を拭って立ち上がった。


私の勢いに
ちょっとだけ驚いた顔をした2人だったけど、
すぐに冷静な顔に戻って頬杖をつく…。


「優太くんのこと…放っとくの…?」


目の前の素っ気ない態度に悲しくなって、
思わずグスンと鼻声に…。


「ち、違うよ!桃ちゃん!!!
 放っとくとかじゃなくて!!!
 おわっっっ!!!!!!」


私の涙目に慌てた先輩は
立ち上がった拍子に
ミックスジュースを倒してしまった。

ひと口も飲まれなかったジュースが
先輩の服を濡らしてゆく…。

あわあわとTシャツを引っぱる先輩に
ハンカチを渡した愛未は、


「そうだよ、桃。
 助けるに決まってるでしょ?」


と、私に言った。

深く、優しい瞳で…。




「放課後には第2報が来ると思うから、
 具体的な救出作戦は
 それからたてるとして…、
 海は富田はるかのこと
 どれだけ知ってる?」

「“この学校における一般知識”程度かな。」

「そう。
 で、桃は…知らない、よね?」

「うん。名前も知らなかった。
 有名な人なの?その人。」

「まぁね。
 色んな意味で有名。
 知らないのは桃ぐらいかも(笑)」

「えっっ!?そうなの?」


びっくりして先輩を見ると、
申し訳なさそうに頷いた。


「知らなくてもいいよ、あんな女。
 あれはね、
 私が最も嫌いとするタイプの女だから。」


そう言って愛未は、
美しく流れる眉を苦々しげに歪めた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

誕生日の奇跡61

「富田はるか…。
 そういうことか…。」


先輩はとうとう
フォークをトレイに置いてしまい、
空いた両手で頭を抱えた。

そんな先輩の姿を横目に、
情感たっぷりにメールの一文を読む愛未。




「この先の話…
 正直、文字にするのも憂鬱です。
 覚悟はいいですか?」




ごくり…




先輩の喉が鳴った。




「北川さん。
 あなたの事ですので、
 富田はるかや富田家について
 かなりの知識をお持ちだと思いますが、
 毎月行われる“家族の健康診断”のことを
 ご存知ですか?」




「何、それ…?」


これまで淡々と文面を読み上げていた愛未が
初めて自分の意思で中断する。


「変態プレイ的なことじゃないといいけど…。」


そう言って、私をチラリ…。




愛未、
私は大丈夫。

もうすでに
頭がついていってないから…。




「あは…は…。」


呆けたような笑顔を向けると、
愛未はハァ…と小さくため息をついて、
携帯の画面に視線を戻した。




「それは、父親の
 “家族の病気をいち早く発見したい”
 という名目によって
 ウチの病院で毎月行われているもので、
 身体測定、
 尿血液検査、
 胸部X線検査などの一通りの検査が、
 さも当り前のように
 毎月繰り返されていました。

 私が思うに、
 その健康診断
 ただの“監視”だと…。
 そして、
 おバカな富田はるかは
 その“監視”に引っかかった。

 そう。
 妊娠検査です。

 病院から妊娠の知らせを受けた父親は
 電話で娘に問い質しました。
 おそらく、
 相手は誰だ?とも。
 そこで彼女は
 今現在、夢中になっている
 プードルの名を出したのです。
 そしてその後、
 自殺騒ぎを起こしました。
 もちろん、
 プードルの心を繋ぎとめておこうとする
 完全なる自演です。
 まぁ、そもそも、
 プードルの心は
 ピーチ姫にあるんですから、
 繋ぎとめるという表現自体が間違っていますが…。

 それにしても、
 なんていう女なんでしょうね。
 私が管理する妄想の世界でも
 こんなエゲツない女は、なかなかいません。

 とりあえず、今はここまでです。
 お役に立てたでしょうか?

 しかし、こうしている間にも
 情報がどんどん入ってきています。
 タレ込みが異常に多くて、ゲンナリです。
 どれだけ人に恨まれてるんでしょうね。

 また、厳選してお知らせします。」




愛未は静かに携帯を置いた。

先輩はさっきの体勢から
微動だにしない。

私は、
頭の芯がガンガンして…

目尻から涙が落ちた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

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