スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--)
スポンサー広告

若葉のころ02

翌日から通常の授業が始まり、
浮足立っていた毎日も
忙しくも落ち着いた日々に変わっていった。

教科書が詰まったバッグの中には
当たり前のように緑色のカメラが納まっている。




「カメラ、気に入ってくれたみたいだね。」

優太くんは
アイスティーをぐるぐるとかき混ぜながら嬉しそうに言った。

「うん♪写真撮るのがこんなに楽しいとは思わなかった!」

誕生日から事あるごとにカメラを取り出しパシャっっとしてる。
(めちゃめちゃぎこちないけど!)

「わからないことがあったら、すぐ聞いてね。」

「うん♪」

「メモリーいっぱいになってない?写真は消去してる?」

「メモリー?消去?」

「…(やっぱり)」




それから昼休みは急遽、
デジカメ使い方説明会に…。

「ごめんね。最初にちゃんと説明しとけばよかったね。
 そのメモリーカードは4GBあるから、簡単にはいっぱいにならないと思うけど…。
 説明書は無くしちゃってるから、ダウンロードして明日持ってくるからさ。」

「ヨンギガバイト?ダウンロード?」

「…(しまった)」


優太くんは時々意味不明な言葉を使います(涙)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
スポンサーサイト

若葉のころ01

「桃ちゃん、はいこれ。」

「?」

カフェでお昼をしてたとき、
突然、優太くんが紙袋を差し出した。

「僕のお古なんだけど、まだまだ最近のモデルだから。」

中にはかわいいピンク色のポーチと…

「カメラ?」

「うん。デジタルカメラ。」

それは、きれいな緑色のカメラで
私の掌にすっぽり収まるサイズのものだった。

どうして?

っていう顔を優太くんに向けると

「何がいいかなぁって悩んだんだけど、
 カメラ全然使えないって言ってたし、
 これなら細かく教えてあげられるかなぁと思って。」

「えーと…そうじゃなくて…」

「桃ちゃん。19歳になったんでしょう?」

「え?」

「お誕生日おめでとう!」

「ええーーー!!!!!」

ビックリしたのと嬉しいので声にならない…。

「あ、ありがと…。」

それだけ言うのがやっとだった。

「どういたしまして♪」

とやわらかく微笑む優太くん。


その笑顔は
どこまでも
どこまでも優しい…。




今日、4月4日は私の19回目のbirthday。

いつも、お母さんと愛未がお祝いしてくれてた。

「愛未ちゃんがね、
 夜一緒にお祝いしようって誘ってくれたんだけど、残念ながらバイトでさ。」

ま、愛未、いつのまにっっ!

「来年は必ず参加するからね!」

「ううん!かえって気を遣わせてごめんね!」

「ごめんねはおかしいよ。友達の誕生日を祝うのは当たり前でしょ?」

「優太くん…。」




教室に戻ると、クラスのみんなから口々におめでとうを言われた。

驚いて優太くんを見るとキュっと片目をつぶってみせる。


緑色のカメラのfirst shotは
ちょっとピンボケのクラスメイト達。




19回目のbirthday、
一生忘れないよ。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界+佐伯

「いらっしゃいませー。」

明るい笑顔に迎えられ、年甲斐もなく顔がゆるむ。

「佐伯先生、日替りでいいですか?」

「ああ。お願いするよ。」

いつものカウンターの席に座り、
てきぱきと動く洋子ママに熱い視線をおくる…。

最近の私は
このひと時のために仕事をしていると言っていい。

妻を亡くして5年。

久しぶりに感じた胸に高鳴り…。

少しでもここに通うために
面倒なことは二ノ宮くんに押しつけた。(こらっ)

偶然にも娘の桃ちゃんがわが校に入学することになり
洋子ママに近づくチャンスが巡ってきたのだ。

「ママ。桃ちゃんの事、きちんと頼んでおいたからね。」

「あら~。佐伯先生、そんな事よかったのに。」

「いやいや。かわいい一人娘に変な虫がついちゃいかんだろう。」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」

「何か心配ごとがあれば遠慮なく言ってきたまえよ。
これからは夜もちょくちょく寄らせていただ…」
「いらっしゃいませー。」

「…」




佐伯為雄56歳。

『きちんと頼んだ相手』が
近い将来、
最凶の虫になってしまう不運な男。




「ママ、今日の日替りもおいしいねー。」




穏やかな春の午後だった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界+新田

なんだよ、二ノ宮のヤツ!

来たのは女子だけだっていうから
思いっきり気ぃ抜いてきたのにさ。

誰だよ、あの子。

思いっきりど真ん中のジャニ系じゃん!

しなやかな細い体に
やわらかそうなゆるふわパーマ…。

何?

プードル?

そうだよ、プードルちゃんだよ!

かわいい…。

かわいすぎる…。

大体、なんで顧問が二ノ宮なんだよ(怒)

冷徹メガネは趣味じゃないんだよ!

俺はバリタチなんだからさぁ。

おじい佐伯、あんなやつ指名すんじゃねぇよ。

ああ…

あのプードルちゃん、

なんとかなんないかな…。




ぞくっっ…

「う…。」

「どうしたの?優太くん。」

「な、なんだか寒気が…。」


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界6.75

午後から
前任の病理学講師と軽く引き継ぎをした。

あまりにもやる気が見られない俺を心配していたが
お互い、上の決めたことに逆らえる立場ではない。


その後、グラスを返しに構内のカフェに寄る。


「二ノ宮くん、夕飯はちゃんと摂らなきゃダメよ。」

常勤している栄養士に釘を刺される。

「良いお相手いないのー?もう、38でしょう?」

また、それか。

面倒な方向に話が進むのを遮るように礼を言う。

あからさまに嫌な顔をして振り向いたとき、


彼女を見つけた。








そうか…。

彼女が白石桃…。


教授から話を聞く前に
とっくに会っていたってことか…。

気にかけるも何も
しっかり守ってる男がいるじゃないか。

幼い顔をして、案外やるもんだな。




そう彼女の事を否定しながらも
運命的なものを感じずにはいられなかった。




あの写真を見て流した涙…

並木道での出会い…

無垢な瞳…




いくつもの符号が
俺を引き戻す…。




捨てたはずの過去…。




めまいを覚えて
屋上に向かった…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

| ホーム | 次のページ>>
Page Top↑
▲ Page Top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。