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重なる心 すれ違う思い+佐伯

無残に割れた皿たちを見ても

「いいんですよ、先生。」

とニッコリほほえむ洋子ママ。

こんなじじいにも優しく向けられる笑顔は
まさに聖母のほほえみ…。




いつもなら店を手伝っているはずの桃ちゃんが
なかなか帰らなかったその日は
書き入れ時の土曜日。

夕食をとるために店にいた私は
忙しそうにしているママに

「ウェイター役は任せなさい。」

そう言って、エプロンを借りた。

が、

散々な結果に…。


思い起こせば
妻が病気で亡くなる前、

「お箸の場所もわからないあなたが、とても心配よ。」

そんなことを、こぼしていたな…。

さすがに箸の場所はわかるようになったが
自炊はまったくしないので
『できあがった料理をテーブルに運ぶ』
という簡単な行為ですら、過度に緊張してしまい
ママに失態をさらす羽目になってしまった。

年頃の桃ちゃんは、
これからも店を手伝えないことがあるだろう。

私がしっかりしないでどうする。

とりあえず、自炊から始めてみるか…。

というわけで
(前置きが長くなったが)
私は今、スーパーにいる。

手始めにカレーでも作ってみるかと
野菜を物色中。

カレー…

何が入ってただろうか…。

洋子ママのカレーは野菜が大きめの素朴なタイプ。

玉ねぎと
人参と
じゃがいもと…

ママの愛情。

何をバカなことをと苦笑いをし、
野菜売り場を後にしようとしたところで

「あら?佐伯先生、お買いものですか?」

なんとも美しい声で呼び止められた。

「洋子ママ!」

今の今まで妄想の中で
ほほえみかけてくれていた聖母が
私と同じカゴを持ち
そこに立っている。

初めて立ち寄ったスーパーで
こうして出会うとは…


これは

運命?


「何か作られるんですか?」

「は、はい。料理を始めようと思いまして。
 今夜はカレーです。」
 
「自炊ですか。
 良いことですね。」

ほ、褒められたっっ!

もっと腕をあげて、
頼れる男になりますから!

期待してて下さい!

洋子ママ!!!

「でも…」

でも?

「お店に来られる回数が減ってしまうんですね。
 私としてはちょっと残念かなぁ(笑)
 それじゃあ。」




佐伯為雄56歳。

自炊なんてするものかと
カゴの中の野菜をひとつひとつ戻していく男。




「あの人、お財布忘れたのかしら。」

「ドジねぇ。」




穏やかな初夏の午後だった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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重なる心 すれ違う思い+謎の小部屋

「部長、この間の話、考えてくれました?」

「まだ、考え中。もう少し時間ちょうだい、北川さん。」




ここは
腐女子が集う知る人ぞ知るサークル部屋。

腐女子という言葉が出来る前から
ひそかに活動を続ける闇サークルである。

何気ない顔をしてクラスに溶け込んでいる腐女子たち…。

今日もこの小部屋に
またひとり女子が入ってゆく…。




「やっぱりねぇ、有料制ってところがひっかかるのよ。
 ネタと交換じゃなくて、お金を払えば誰でも読めるって事は
 希少感が無くなるじゃない?」

ブツブツと言いながらも、ペンをすすめる。

「ほとんどのネタが学園内のことだから、
 外部の人間が読んでもおもしろくないんじゃないかと思うし…。」


こりゃあ、うんって言わないなぁ。


1ヶ月前、
この腐女子サークルが作る同人誌を
携帯で有料配信しないかともちかけた。

あえて、有料にするのは
クオリティの高い創作物の価値を下げないため。

私が欲しいのは彼女たちが作るネットワークだけで
構築のための投資はするし、
発生した利益もすべてこのサークルに落とすと言ってみたんだけど、

「気乗り、しないんですね。」

「正直言うとねぇ…。
 先輩達から受け継いだ歴史を
 変に歪めたくないってのもあるし。」


何度か足を運んだんだけど、
いつものらりくらりと返事を延ばされる。

でも、はっきり断らないってことは
まだ交渉の余地があると私は見てる。


「じゃあ、同人誌とは別の創作物ならOKですか?
 このサークルが作る、もう1つの部屋なら。」

「そうねぇ。
 私も来年はここを出なきゃいけないし、
 学園ネタ以外にも手をつけたいとは思ってたのよ。」


きた!


部長はこのサークルを続ける為に留年を重ねてきたらしい。

すべてを託せる後輩に出会えなかったとぼやいていた。

それならば、
携帯サイトで部長を続け、
後輩を指導しながら同人誌を守っていけばいい。


「北川さん、1週間後、また来てくれる?
 それまでには幹部と相談して結論を出すわ。」




勝利は目の前だ。




欲しいものは
貪欲に追いかけ、
手に入れる。

それが、私。




でも、
1番欲するものは
永遠に手に入らない。


どんなに私が望んでも…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い30

「愛未ちゃん、今日はありがとね。」

「ううん。こっちこそありがとう、洋子ママ。」

「じゃあ、そこまで送ってくるから。」

ふたりで表に出て、営業中の札を裏返す。

「桃、ここでいいよ。」

「ううん。駅まで行かせて。」

久しぶりに長い時間、一緒にいたからか、
いつも以上に別れを淋しく感じる。

「写真、見せて。」

「うん。」

エプロンのポケットからカメラを取り出し
愛未に渡した。

「おお!うまく撮れてんじゃん!」

「そぉ?」

「これも私と例の彼のおかげだねぇ。」

「れ、例の彼って!!!」

「だって、名前聞いてないもん。」

「う…。」

海で愛未は

―「そのうち、教えてね。」―

って言ったけど、
結局すぐに教えることになりそう…。




「洋子ママ。お願いがあるんだけど。
 今度、無国籍料理のお店を出そうと思ってて
 料理を参考にしたいから写真撮っていい?」

そう言った愛未は来店したお客様に

「この料理がオススメですよぉー♪」

と、様々な料理のオーダーを取り、
出来あがった傍から

「はい、桃、撮って!」

と、私に写真を撮らせた。

そうして、
あっという間にメニュー表の写真撮影終了。

まさか1日で終わるなんて…。

さすが、愛未!

って、あれ?

「ねぇ、愛未?」

「ん?」

「お母さんは愛未がお店持ってること知ってるの?」

無国籍料理の店のくだりで
全く驚いてなかったお母さんは
よく考えたら不自然だった。

「ああ、洋子ママ?言った、言った。
 うなぎやする時にね。
 色々、相談に乗ってもらったんだぁ。」

「えーーー!私は知らなかったのに?」

「だって、失敗したら心配かけるじゃん。」

「それはっ!…そうだけどぉ。」

「一生顔パスにしたげるから、ゆるせ、桃。」

「顔パス?」

「ふふふ。喰いついたね。」

「う…。」

だって、すっごく美味しかったんだもん。

「無国籍料理の話もホントだからねぇ。」

「えええ!?」

「ああーーー。お金が増えて仕方ないわぁ。」

…私には一生言えないわ、そんなセリフ。




「さて、あとは、これを形にするだけだねぇ。」
 
写真を撮っただけではメニュー表は完成しない。

値段や料理説明も入れなきゃいけないし。

「優太が手伝ってくれるんでしょ?」

「うん。何か考えがあるみたい。
 でも…優太くんに甘えていいのかな?」

優太くんの気持ちが、愛未の言う通りだとしたら…
今のままでいられるんだろうか。

「いいんじゃない?甘えれば。
 そもそも優太は友達なんだから、
 それは桃に彼氏ができたって変わらないでしょ?」

「か、彼氏って!
 まだ、好きかどうかもわからないのにっっ!」

「もしもの話よ(笑)
 まぁ、好きかどうかぐらいわかるようになるまで
 優太にはその彼の話はしない方がいいかもねぇ。」

「どうして?」

「なーーーんか、ややこしい事になりそうな気がするから。」

ややこしい事ってなんだろ?

詳しく聞こうと思ったら、駅に着いた。

「じゃあ、桃。また月曜日にね。」

「うん。おやすみ。」

改札を抜けて、振り返る愛未。

手を振ろうとした時、

「桃、私たち幸せになろうね!」

と、愛未が言った。




今、駆け足で
大人になろうとしている私たち。


できればずっと近くにいて

支えあい

笑いあい

慰めあい

幸せになりたい。


なれると信じたい。



ね、愛未。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い29

夕日が落ち、辺りが暗くなった頃、
愛未と私は帰りのバスに乗った。

「今日は洋子ママに悪いことしちゃったな。」

「大丈夫。その分、帰ったらガンガン手伝うから。」

とは言ったけど、お客さんが多い土曜の夜、
忙しいだろうなと心配になる。

「よし!今日は私も手伝っちゃう!」

「え?いいよぉ、気を使わなくても!」

「たまには、やらせてよ。
 いつも、お世話になりっぱなしだから。それに…」

「それに?」

「桃、洋子ママの誕生日のこと忘れてるでしょ?」

「あっっ!」

そうだ!

肝心のメニューの写真、1枚も撮ってない!

「どうやって撮るの?料理の写真。内緒なんでしょ?」

「ええーーーっと、写真の練習をしたいから撮らせてとか?」

「…あんた、何も考えてなかったでしょ。」

図星。

「まぁ、私に任せなさい。悪いようにしないから。」

「う、うん。」




それから1時間近くバスに揺られ、
店に着いたのは8時を過ぎた頃。

店内は、予想通り
お客さんで込み合っていた。

お母さんは焦って店に入った私たちを見て

「良かったー。今から手伝える?」

と、キッチンから声をかけた。

こういう時、お母さんは絶対怒らない。

友達は何よりも大切

それが我が家の家訓。

「洋子ママ、今日はごめんね。
 桃をこんな時間まで借りちゃって!」

愛未が両手を合わせ、頭を下げると

「いいの、いいの。優秀なお手伝いがいたから。」

え!?

と2人して、店内を見回すと
お客さんからオーダーをとっている…

「さ、佐伯せんせ!」

「ああ、桃ちゃん、おかえり。」

ワイシャツ姿にピンクのエプロンをした
佐伯教授がそこにいた。

「な、なにしてるんですか!?佐伯教授!」

「ああ、君は北川くんだったね。
 どうかね?このエプロン。」

「に、似合ってます。」

あ…愛未の顔が引きつってる。

嘘、だな。

「先生は忙しそうにしてる私を見かねて、
 今まで手伝って下さったのよ。」

「ありがとうございました。あとは私が…。」

そうお礼を言うと、
そうかねぇ…と名残惜しそうにエプロンを外した。

あれ?

私、邪魔だった?

その時、愛未が

「ありゃ、洋子ママ狙いだね。」

と、小さく耳打ち。

驚いて先生を見ると、
顔を赤くしながらお母さんにエプロンを渡してる。

「ここにも、愛があったか。」

にやにやしながら愛未が言う。

愛…。

そう言えば、二ノ宮先生の授業に遅刻した時、
お母さんのこと色々聞いてきたっけ。

そうか。そうだったのかと1人納得していると、

「じゃあ、桃ちゃん、北川くん、また。」

と佐伯先生は帰っていった。

それを笑顔で見送ったお母さんは

「桃、ちょっと。」

と私をキッチンに呼ぶ。

「悪いけど、これ片付けてくれない?」

そう指さした先には、割れた皿の山が…。

「いい人なんだけどねぇ。
 ウェイターには向いてないみたい。」

カウンターからキッチンを覗きこんでいた愛未が

「教授、残念…。」

と、つぶやいた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い28

そこは小さな入り江があるだけの
地元の人しか知らない海。

夏は少しだけ賑わうけど、
海の家なんていう施設は無い。

近くの人が泳ぎに来て、
水着のまま家に帰っていく…

そんな場所。

愛未や私の家からは少し距離があり
泳ぎに来たことはないけれど、
ふたりで何度か訪れていた。

海に行こうと言われれば、
ここを思い浮かべる。

前回、来たのはちょうど1年前。

大きな流木に座り、
沈んでゆく夕日を眺めた。

あのときも、愛未から誘ったんだ。

桃、海行かない?って。

多くは語らなかったけど、
辛いことがあったんだなって…

そう、思った。




「まだあったんだ、これ。」

そう言って流木に腰かけた愛未の隣に
私も座った。

海風が気持ちいい。

ふと、
先生とこの海を見たいと思った。

ここに、こうして並んで、
静かに海を眺めたいと…。

「桃、今何を考えてる?」

「うん。…ある人のこと。」

海は人をちょっとだけ素直にさせる。

「そう。好きなの?その人が。」

「わからない。
 まだ、出会ったばかりで、何も知らなくて…。
 でも…。」

「でも?」

「もういちど、会いたいって思うの。
 今日は会えるかなってドキドキするの。」

「そっか。」

「それから…
 あの写真は、その人が撮ったの。」

「うん。」

「色々、教えてくれて…。
 それで…。」

抱きしめられていた時間を思い出し、
顔が熱くなる。

そんな私を見て、愛未がフッと笑った。

「いいよ。今ぜんぶ言わなくても。
 でもそれは、優太じゃないんだね。」

「…うん。」

「私にも言い辛い人だったりする?」

「う、うーーーん。ちょっと…。」

愛未が授業中睨みっぱなしのあの人ですから。

「まぁ、いっか。そのうち、教えてね。」

「うん。」

愛未の反応を考えると、今から緊張…。

やっぱり反対されるかな?

あの、冷徹メガネのどこがいいの!?とかって。

「優太はさ、桃のこと好きだよ。」

「…。」

「ふたりがうまくいけばいいなって思ってたけど…。
 そっか、そうだったんだ。」

「ごめんね。」

「謝ることじゃない。
 人の気持ちはどうしようもないから。」

その言葉は私だけに言ってるようには思えなくって、

「愛未、何かあったの?」

と、聞いてみたけど、

「今は…ごめん。でも、私は大丈夫。」

そう言って、悲しそうに笑う愛未。

私じゃ、頼りなくて
相談なんて出来ないよね。

いつも助けてもらってるのに
肝心な時に役に立てないなんて…。

私の方こそ、ごめん…。




それから、
1年前と同じように
夕日を眺めた。

海に夕日が沈んでしまう時は、
線香花火の最期に似ている。

とてもきれいで
とても切ない…。




かならず、また来ようね。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い27

店の外は
さっきまでの空間が嘘のようにごった返していた。

それを見た愛未は
踏み出そうとしていた足を止めて、

「ねぇ、桃。海行かない?」

と、言った。

「今から?」

「だめ?」

「ううん。行こ、海。」

そうして、私たちは
そこから一番近い海に向かうバスに飛び乗った。




2人を乗せた古びたバスは
ガタガタと揺れながら、終点を目指す。




愛未、
海に着いたらいっぱい話そう。




スニーカーは
また今度、買いに来ようね。




今日、お店手伝えるかなぁ…。








「―――もも…―――」




ん?




誰かが、私を呼ぶ声がする。




「もーも、起きて。」




お母さん?

そんなに強く揺さぶらなくても起きるってば!




「お客さん、起きてください。」




お客さん?




はっっ!!!




愛未と運転手さんに見守られて
私は目を覚ました。




「桃、よだれ。」




残念ながら
今度は嘘じゃないみたい。




恥ずかしさで一気に覚醒した私の鼻先を
潮の香りがくすぐった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い26

「じゃあ、またね。かわいいトマトちゃん。」

嵐のように現れ、
嵐のように去っていく…
中身はまるでイタリア人な紳士の背中をぼーっと見ていると
突然、くるりと振り向いた。

びくっっ

紳士の視線は固まる私を一瞬捉え、
その後、愛未に…。

「最近、巧から連絡あるかな?
 ちっとも電話をくれないって由梨さんがぼやいててさ。」

「いいえ。私には何も。」

「そう…。なら、いいんだ。
 邪魔したね、2人とも。」

軽く手をあげて、紳士は厨房の中に消えていった。

残されたのは静寂と溶けたスイーツ。

「あーあ、こんなになっちゃって。」

そう言った愛未の声は
今まで聞いたことのない乾いた声だった。




聞きたいことがたくさんあった。

話さなきゃいけないことがたくさんあった。

でも、大きな嵐に見舞われて
すっかりきっかけを失ってしまった。

愛未もめずらしく黙りこんでいる。

上品な和食器の中で
色を失ったスイーツが痛々しい。

「出よっか。」

愛未のその言葉を合図に
再び時間が動き出した。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い25

「これ、私が考案したの。美味しいよ。」

うな重をすっかり平らげ、
食後のデザートとして運ばれてきたのは
わらび餅とソフトクリームに
黒みつと抹茶がたっぷりかかった和風スイーツ。

ぱくっっ

冷たさと温かさと甘さと苦さが絶妙に合わさって…

「おいしーーーー♪」

「でしょ?」

嬉しそうに頷く愛未。

それにしても…

「いつから、社長なの?」

「ああ、社長じゃなくって…」

と、言いかけたところで
調理用の白衣を着た男性が現れた。

「お味はいかがでしたか、オーナー。」

オーナーっっ!?




「オーナーはやめてって言ってるでしょ!
 椎名のおじさま。」

「ははは。オーナーには違いないだろ、愛未ちゃん。」

にこやかに愛未と言葉を交わす男性は
50代ぐらいの色気のあるおじさまで、
他の席のマダムたちから熱い視線が飛んできた。

「桃。この方はパパの古くからの友人で椎名さん。
 この店の統括をしていただいてるの。」

はじめましてと小さな声で挨拶をすると、

「とってもチャーミングなお嬢さんだね。」

と、太陽の様な笑顔を向けられた。

「そうなの。かわいいでしょ?
 でも、この子はウブだから狙っちゃダメよ。」

「な、何言って…!!!」

「そうか残念だな。真っ赤なトマトちゃん。」

ま、ま、ま…

「おじさま、からかわないで!」

「ごめん、ごめん。でも、本当にかわいいね。
 どう?今度、食事でも。」

「もぉーーー!おばさまに言いつけるわよっっ(笑)
 …って、桃?」

「あれ?このコ、固まっちゃったね。」


色んな事が頭の中に押し寄せて、
活動限界とっくに超えました…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い24

ショッピングモールに着いて
まずランチをすることにしたけど、
土曜日のお昼時、どこもすっごい混んでいる。

「うーーーん。これじゃ、尋問どころじゃないなぁ。」

どの店も列を作っているレストラン街を歩きながら、
眉間にしわを寄せる愛未。

尋問…。

思わず、
どこも空いてませんように!
と心の中でお祈りをした。

その時、

「ああ、ここにもあったんだ。」

と、愛未がスタスタ入って行った場所は…

「う、うなぎやっ!?」

しかも、高そうなっっ!

「ち、ちょっと、待ってよ、愛未!
 私、お金がっっ!!!」

急いで愛未を追いかけて中に入ると

「いらっしゃいませ。どうぞこちらに。」

と、和服を着た店員さんに案内され、
もはや逃げられない状況に…。

店内では、
いかにもお金持ちっていう上品な方々が
静かに静かに食事を楽しんでいて、
なんとも場違いな自分に顔が赤くなる。

席に着くと、立派なお座敷で平然とメニューを見ている愛未がいた。

「あ、特上ふたつお願いします。あと、うざくとうまきも。」

かしこまりましたとおじぎをする店員さんの隣で
ぽかんと大口を開けたままのアホ面に

「早く、上がりたまえよ。そこのお嬢さん。」

と手招きをする。

あ、あなたさまは
どこかの社長さまですか?




「ほら、早く食べないと冷めるよ!」

あまりにも立派なお昼ご飯を並べられて
箸を出せずにいる庶民の目の前で
肝吸いをすすりながら、ガツガツうな重を食べる社長。

「お金はいいんだって。私がいるから。」

「だって、そんなの悪いし…。」

確かに愛未のところは両親ともお医者様で
お金持ちなのは知ってるけど、
バイトもしていない大学生が持てるお金なんて…。

「言ってなかったけど、私、株やっててさ、
 これ、預金残高。」

と、おもむろに通帳を広げて見せた。

いちじゅうひゃくせんまん…

ゼロが多すぎて、わかんないっっ!!!

「あと、車も持ってる。ベンツを2台。」

免許取ったのは知ってたけど、おベンツ2台っっ!!!

愛未、いつも車欲しいって言ってなかったー?

「ああ、それは、もっと欲しいって意味。」

あ…そうですか…。

10年以上も近くにいて、知らない愛未がそこにいた。

「人間なんてこんなもんよ。
 大小さまざまな嘘もつくし、隠し事もする。」

え?

「だから、嘘をついても桃は桃。
 お金を腐るほど持ってても私は私。
 何も変わらない。
 わかった?」

ニヤッと笑いながら
うまきをひと切れ
開いたままの私の口に放り込む。

「んーーー。おぃひぃーーー!!!」

思わず笑顔になる。

「でしょ?だって、ここ私の店だもん。」

え!?

ほ、ほんとに社長だったのーーー!?

―「お金はいいんだって。私がいるから。」―
ってそういう意味!?




愛未の隠し事は計り知れない…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>




重なる心 すれ違う思い23

「どうしたの、桃ちゃん?居眠りなんてめずらしいね。」

授業が終わってもぼーっとしたままの私の顔を
のぞき込む優太くん。

結局2日間、ほとんど眠れなかった。

おかげで午前中の授業は超爆睡。


「よだれ、ついてるよ。」

「え!?どこっっ?」

あわてて口元をぬぐう。

「うっそ♪目が覚めた?」

「うん…。」

怒らない私を

「桃ちゃん、具合でも悪いの?」

と心配そうに見つめる。

そんな小さな嘘で怒るわけないよ。

「じゃあ、愛未と約束があるから。
 また、来週ね。」

「うん。気をつけて行っておいで。」

気まずさから逃げるように教室を出る。




今日、優太くんに会ったら
嘘をついたことを謝ろうと思っていた。

でも、教室に入る直前、

 とりあえず優太には何も言わず、
 普通通りに過ごして。
 謝るのも今日は無し。

と愛未からの指令メールが…。

出鼻をくじかれた私は
嘘に気付いてるであろう優太くんの前で
精一杯の普通を演じた。

たぶん、笑顔が引きつってたと思うけど。




愛未と学校前のバス停で待ち合わせ、
少し離れた大型ショッピングモールへ向かう。

2人掛けの席に並んで座ると、いきなり愛未に

「桃、よだれついてるよ。」

と、指摘された。

「え?え?どこっっ?さっき優太くんは嘘だって!」

あわてて口元をゴシゴシぬぐう私を見て

「じゃあ、私も嘘。
 顔に袖のボタンの跡が付いてるから
 寝てたのかなぁって思っただけ。」

そう言って、ニヤッと笑う愛未。

さ、さすが、敏腕刑事。




土曜の午後はいつも授業が無いわけではないので、
こうして愛未と出かけるのは久しぶり。

日曜に出かけるのとは違って、
明日も休みという安心感があるから
なおさら楽しい


…はずなんだけど


「なぁに、桃。緊張してるの?」

「…そ、そんなことないよ。」


またひとつ嘘をついた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い+愛未

嘘は
平和な日々にさざ波を立てる一滴となる。

桃がついた嘘によって、優太の心にさざ波が立った。

これから、ふたりがどこに向かうのか…。

私はその結末を見ることができるのだろうか?

側にいられるのは、卒業までだから。




桃はホントに純真だ。

その純真さは眩しすぎて
時々、妬ましくなる。

それにくらべて私は…

黒く汚い。




桃が嘘をついたことを咎める気は全くない。

桃のことだ、
きっと大した嘘ではないだろう。

私なんて、もう何年も嘘をついている。

とてもとても汚れた嘘を。

家族にも、
友達にも、
世間にも、
絶対に明かせない嘘を。




やっと動き出した関係を、
もう少し加速させるために
桃に優太の気持ちを教えた。

優太は複雑な思いを抱えて生きている。

何かを隠しているような気がする。

桃の最初の恋には
重すぎる相手なのかも知れない。

でも、優太の優しさは本物だ。

桃のことも大切にしてくれるだろう。

優太なら桃を任せられる。

そう思った。

でも、それもすべて自分のため…。

汚れた嘘のため…。

優太の傷を桃が癒し
ふたりで幸せになってくれれば
荷物をひとつ降ろして
あの人のところに飛んでいけるから…。




桃との電話の途中でキャッチが入った。

あの人のほうから電話がくるなんて
めずらしいことだ。

思わず、桃との電話を切ってしまった。

内容はいつもと変わらない。

「こっちは大丈夫。君はどう?」

でも、最後に一言。

「君は君のしあわせを見つけて。」

そんなことを言いたくて、
苦手な電話をかけてきたのか。

私のしあわせは
彼のいない世界には存在しないというのに…。




彼は自分から別れを言わない。

私が離れていくのを待っている。

離れていけば追っても来ない。

そういう関係…。

そういうズルイ人だ。

それでも私は
彼をあいしている。

決して、
結ばれることはないとわかっていても。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い22

「今日は遅いから、明日話そう。」

そう言って愛未は電話を切り、本日の取り調べは終わった。

明日は土曜日で
午後から買い物に付き合う約束をしている。

ガンガン歩けるスニーカーが欲しいと言っていた愛未。

それを手に入れる前に
私をガンガン尋問するんだろうなぁ…。

いや、それを履いてガンガンかも…(涙)

敏腕刑事を前にして
すべてを白状させられてしまう自分が想像できる。

楽しみにしていた予定が憂鬱なものに変わった気がした。




それにしても、
愛未が疑問を残したままで電話を切るなんて…。

とことん突き詰めるタイプだから、覚悟してたのに。

もしかしたら、
私に頭を整理する時間をくれたのかな?

でも、
整理どころか、混乱は酷くなるばかり…。


優太くんが私のことを?

しかも、嫉妬って…。


さすがに屋上に一緒にいたのが
女性か男性かまではわからないと思うし、
ましてや二ノ宮先生だなんて…
絶対にわかるはずがない。

それなのに嫉妬ってどういうことだろう…。


机の上に広げられたレポート用紙には
1文字も追記されないまま、
時間だけが過ぎていく。

闇がだんだんと淡くなり
夜明けがすぐそこまで来ていた。




長い1日がはじまる。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い21

嫉妬って、優太くんが?

何に対して?

私の頭に中にある
ちっちゃいコンピューターをフル稼働させても

「全然わからないです…(涙)」

「まぁ、そうだろうねぇ。
 ちょっと飛ばしすぎたかな(笑)
 じゃあ、ここからは桃も発言して。
 というより、ちゃんと答えてね。」

「う、うん。でも、何を?」

ものすごく嫌な予感がして、
携帯を持つ手がじっとりと汗ばんでいく。

「あの屋上で撮った写真、ホントに全部桃が撮った?」

愛未が名探偵から、敏腕刑事に変わった…。




「えっっ!?えーーーっと…。あ、あ、あの…」

いきなり核心をついた質問をされ、
これ以上ないぐらい動揺しまくる。

「やっぱり…。
 あの、ベストショットでしょ?
 他の人が撮ったのは。」

!!!!!!

「どうして、どの写真かまでわかるの!?」

「はい。桃ちゃん、白状しましたーーーー(笑)」

「あ!!!」

「私に隠し事するなんて1000年早いよ。」

「ご、ごめんなさい。」

もう私は、まな(み)板の鯉…。




「でも、どうしてわかったの?」

「あれだけ、数段センスが良かったもん。
 一目でピンときた。」

「う…。」

「あの時は優太に気付かれたちゃまずいと思って、
 桃をベタ褒めしたんだけど、無駄だったみたい。」

「え?」

「気付いてるね、優太も。」


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い20

「正直、優太の桃に対する態度は
 誰が見ても恋だと思うの。
 よっぽど、鈍感な人以外は気付いてる。」

鈍感な人=私って言いたいのね…。


愛未の視点は、とてもするどい。

その言葉は的確に心に届く。

人によっては誤解を招くこともあるけど、
私みたいな鈍感な人間には逆にありがたい。


「でも、問題なのは
 優太自身がそれを否定してるってこと。」

否定?

「美優ちゃんの事が原因なのかはわからないけど、
 優太は恋することを避けてる。
 よりどりみどりのモテ期中のくせに
 友達って言葉を隠れ蓑にして
 恋愛を遠ざけようとしてる気がする。」

たしかに、
―「僕は特定の子は作らないんだ。」―
って言ってるけど、
理由を聞くと上手くはぐらかされてしまう。

自由に恋愛を楽しみたいのかな?
なんて思ったこともあったけど
接するうちにとても真面目な人なんだって分かって、
なぜ、彼女を作らないのか
という疑問は宙に浮いたまま…。

「でもね。」

いよいよ、核心部分に近づいてきたのか
愛未は口調を低く抑えた。

「もう限界なんじゃないかと思うの。
 桃への気持ちが溢れて、決壊寸前って感じ。
 だから、態度や言葉の端々にそれが出ちゃってるんだよ。」

「…。」

思い当たることはいくつかあった。

これって、もしかして?ってドキドキすることも…。
(いくら鈍感な私でも)

でもそれは、美優ちゃんのことを知る前の話で…。

「今、それは私が美優ちゃんに似てるからって思った?」

愛未っっ!

とうとうエスパーにっっ!?

「それだけじゃ、あんな熱い目で桃を見ないって。」

はい?

今なんて?

「いや、むしろあれは…嫉妬?」

わ、わかんないです!愛未さん!!!


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>




重なる心 すれ違う思い19

今まで、事あるごとに
―友達として―
と強調してきたのは、優太くんのほうだ。

だからこそ、男の子が苦手だった私が
こんなにも心を許し、時間を共にしている。

「ふーーーん。あくまでも友達として言ってると?」

10時過ぎに愛未からかかってきた電話で
よーーーく考えた結論を報告する。

「優太くんは彼女は作らないって公言してるし、
 美優ちゃんの分まで守るって言われたし…。」

「友達かつ妹って言いたいわけねぇ。」

「うん。」

「まぁ、桃が言いたいことも分かる。」

やっとわかってくれたと
胸を撫で下ろしたのも束の間、
そのあとの愛未の口から出た『完璧すぎる推察』は
恋愛初心者の私から睡眠時間を奪うには
十分な衝撃だった。




眠れない…。

昨日、あまり寝てないから、眠いはずなのに。

どうせ眠れないなら、
レポートの続きでも書こうかと机に向かったけど…

だめだぁ。

集中できないよぉ(´;ω;`)ウゥゥ

愛未があんなこと言いだすから。




「私が見るかぎり、
 やっぱり優太は桃を好きだと思うよ。」

「え?」

「意見はあるだろうけど、
 とりあえず私の完璧すぎる推察を聞いて。」

う…。黙って聞けってことね。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>




重なる心 すれ違う思い18

「今日はごめんね。なんだか意地になっちゃてさ。」

別れ際、
優太くんは申し訳なさそうに頭を掻いた。

謝ってばっかりだね。

でも、そうさせてるのは私なんだ。

「あのね、桃ちゃん。」

私の揺れ動く心を察してか
優太くんはこう言った。

「誰にでも平等に接してるって言ったけど、違うよ。」

「え?」

「特別だから。」

「ゆう…たくん?」

「桃ちゃんは特別だから。」




「おおっと!それはまさに愛の告白じゃない!」

「愛未、茶化さないでよ!」

「桃、おめでとう!」

「お母さんまでっっ!!!」

ふくれる私を無視して、
ママの店で盛り上がる2人。

写真の事はお母さんにはナイショなので、
端折って話したのがまずかったのかな?

ぼちぼちお客さんも入ってきてるのに
話に夢中でちっとも手が動いてない!

「お母さん、早く料理出さなきゃ!お客さん待ってるよ!」

「はいはーーーい。」

私たちのやり取りを聞いて、
クスクス笑ってるお客さんもいる。

2人とも声が大きいんだからっっ!

ますますふくれる私を見て、

「まぁまぁ。喜ばしい事なんだから、怒らない、怒らない。」

と、愛未がなだめにかかるけど…

「だから、違うの!」

「なーにーが?」

「優太くんはね、特別な友達っていう意味で言ったの!」

「そう、言われたの?」

「…言われてないけど。」

「はぁーーーー…。」

愛未は聞えよがしのため息をついて、

「また、夜電話する。それまで、よーーーく考えてみ。」

と言って、帰っていった。

チキンカツを揚げているお母さんが、
うんうんと頷いている。

「お母さんっっ!!!」

目の端に、
同じく頷いているお客さんが映った。

…もう、帰ろっかな(涙)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い17

「今日は付き合わせてごめん。じゃあ、また明日。」

爽やかな笑顔を残し、アルバイト先に向かう優太くん。

結局…

優太くんはあの屋上へたどりつくことは無かった。

正確には、
『たどりついたことに気付かなかった』だけど…。




「桃ちゃんは下で待ってて。
 全部、上まで昇るのは大変だから。」

「ううん。私もいっしょに…。」

「これだと思ったら、携帯で呼ぶからさ。」

「…うん。わかった。」


もしかして先生に会えるかも


そんな考えが一瞬過ったけど、
優太くんと2人であそこにはいけない。

だって…

―「来る時は1人で来い。」―

そう言われたんだもん。


それから、
病棟は除いた構内の建物を手当たり次第昇ってみたけど

「うーーーん。ここも違うな。」

残念そうに降りてくる優太くん。

「そろそろ、バイト行かなきゃいけないし、
 あそこを最後にしようか。」

と、中庭の奥にひっそりと建っている一棟を指さす。

「あれは研究室なんかが入ってる棟だね。初めて入るな。」


研究室…

先生の白衣とリンクする。

ここかも知れない

予感がした。


「桃ちゃんはベンチに座ってて。疲れたでしょ?」

そう言って、優太くんは走っていった。


屋上に目をやると、貯水タンクが見える。

きっと、ここだ…

心臓が早鐘を打つ。

もうすぐ鳴るだろう携帯を見つめた。




それから5分後、
携帯は鳴らないままに、優太くんが戻ってきた。

「あそこも違ったよ。ごめんね、待たせて。」

あ…れ?

どうして?

「あの棟の屋上は入れないんだ。
 鍵がかかってて、立入禁止みたいだね。」

「…!」




「さぁ、帰ろうか。」
と歩き出した優太くんの後ろをついていく。

あの場所を忘れないように、
しっかりと心に刻みながら…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い16

昨日の午後は、いつもと違う棟で授業があり、
そこで優太くんと別れて、屋上を目指した。

「で、間違えたんだね。」

「うん…。」

「まぁ、結果オーライじゃない?」


間違えなかったら、2人に嘘をつくことはなかった。


間違えなかったら、先生に会えなかった…。


「なぁに、桃?難しい顔しちゃって。」

「間違いは誰にでもあるよ。」

「桃の場合は間違い過ぎだけどね(笑)」

「ははは…。」

複雑な感情を抱えたまま、中途半端な笑顔を作る…。

「それにしても、不思議だよ。」

優太くんはカメラの画面を見ながら、首をかしげる。

「なにがよ。」

「結構、上ってるんだよね、屋上。
 屋上に呼び出しってパターンが多くてさ。」

呼び出しって言葉にピクリと反応する新田先輩。

「で、桃ちゃんに教えたのがベストな見え方だと思ったんだけど…。」

「他にあったと。」

「うん。偶然ってすごいね。
 きっと桃ちゃん、この場所に呼ばれたんだよ。」

そう。たしかに…

昨日、先生に会えたのは
偶然に偶然が重なったから…。

また、あるんだろうか

そんな偶然が重なる時が…。


その時、

「なんだか悔しいからさ、探してみようかな、ココ。
 桃ちゃん、今日の帰り時間ある?」

と、優太くんが笑顔で言った。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い15

先生の温もりを感じた時間…。

あれを見られてたとしたら…。

「あ、あ、あの…。」

「僕が行った時は誰もいなかったから、
 行かなかったのか、それとも帰った後だったのか…。」

え?

いなかった?

「行ったけど、私…。」

「そっかぁ。じゃあ、すれ違いだったのかなぁ。」

いや、けっこう長い時間いたんだけど…。

「写真撮った?見せてよ!」

「あー、私も見たいっっ♪」

「う、うん…。」

なんだかスッキリしないままカメラを渡す。

「どれどれーーー。」

次々と再生されていく写真たち。

それを見ながら

「あ…れ?なんか違うなぁ。」

首をかしげる優太くん。

「桃ちゃん、ここ、僕が教えた屋上?」

「?」

「僕と見た時は、こういう見え方じゃなかったでしょ?」

「???」

「あーーー!桃!建物間違えたんじゃない?」

「!?」

「そうか!それで会わなかったんだ(笑)
 だって、撮影時間からすると
 1時間以上はここにいたみたいだもんね。」

「違う建物…」

そういえば、前に優太くんと屋上に上がった時は
何人か生徒の姿もあったのに昨日は私と…

―「ここは生徒立入禁止だからな。」―

あ!

だから先生…。

「ごめんなさい。間違えたみたい。」

「出たよーーー!桃の超絶方向オンチ(笑)」

「優太くん、来てくれたのにごめんね。」

「いいよ。いいよ。
 だって、僕が行かなくても良い写真撮れてるじゃん!」

と、私と愛未に見せた写真は…

「それ…。」

「おお!いいじゃん、これ!!!
 桃、こういう才能あったんだねぇ!」

それは先生の撮った写真だった。

「グリッド線も出してるし、勉強したんだね。エライ、エライ!」

笑顔で褒めてくれる優太くんと愛未。

―それは先生が撮った写真なの―

そのひとことが
言えなかった…。

大切な
大切な
ともだちなのに

言えなかった…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い14

「で?何よ。アレの利用価値って。」

クリームソーダをグリグリしながら愛未が聞いてきた。

「り、利用価値って!」

「愛未ちゃん、それこそ裏愛未発言だよ(笑)」

先輩に聞こえちゃうよぉ(汗)

隣をそっと見ると…

携帯で写真撮ってるぅ!!!

それに、極上スマイルで答える優太くん。

「先輩さぁ、自費で部室のPCに画像編集ソフト入れてるらしくって。」

と、アイス・オ・レをひと口…。

「僕の家にもあるんだけど、ライトユーザー向けだからさ。」

と、先輩に向かってウィンク。(先輩昇天…)

「なるほど。それを使わせていただこうと。」

「まぁね♪」

ワル2人の会話はキョワイ(´;ω;`)ウゥゥ




「ところで、桃ちゃん。昨日屋上行った?」

どきっっ!!!

「写真撮ったの?」

どきどきどきーーーーんっっ!!!

いきなり優太くんに昨日のことを聞かれて
心臓がおもいっきり跳ねた。

「僕さぁ、やっぱり心配で、
 店長が出勤してから行ったんだよね、屋上。」

「え!?」


来たの?優太くん!


見られちゃったの?アレを!


ど、どうしようっっ(゚Д゚;)!!!


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い13

教室に入ると優太相談室が始まっていた。

最近では違うクラスの女子も来てたり、男子の姿も…。


毎日、大変だぁ(苦笑)


お昼休み以外は、誰かの話を聞いている。

優太くんは所謂『聞き上手』なんだと思う。

だから、優太くんに話を聞いてもらいたい人がここに来る。

「あ!桃ちゃん、おはよ♪」

くすっっ( *´艸`)

今日も優太スマイル全開!




「あーーー!お腹減ったぁ!!!桃ちゃん、お昼行こ♪」

午前中の授業が終わるなり、振り返ってお昼のお誘い(笑)

お昼の時間は私と愛未と3人でって決めてる優太くん。

くすぐったいほど大事にしてくれてる。

他のコたちがヤキモチ焼かないか心配になっちゃうぐらいに。

「ヤキモチ?」

「うん。だって、優太くん人気もんだもん。」

「ない、ない(笑)僕は誰にでも平等に接してるからね。」

焼きカレーをハフハフ食べながら、あっさり否定する。

「そういえば、ウチのクラスにも優太ファンいるわぁ。
 あと、アレも。」

冷やしたぬきうどんをツルツルしながら、
横をチラリと見る愛未。

愛未の視線をたどると…

新田先輩!?

「すっかり気に入られちゃってね(笑)
 でも、仲良くなって損は無いかなぁって。」

「おお、裏優太発言!」

「なに?どういうこと?」

「え?桃、気付いてなかったの?
 この2ヶ月、優太の傍には新田在りだったでしょうが。」

「…全然、気が付かなかった。」

「桃ちゃんらしいね♪」

と、きゅっとウィンクする優太くん。

愛未はすっかり呆れ顔。

で、新田先輩は…

私睨んでますけどぉぉぉ!!!


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い12

ふあぁぁぁ

あくびが止まらない…。

フライパンに水を入れ、すばやく蓋をする。

「おはよう、桃。今日は目玉焼き?」

「おはよう。今日はトーストと目玉焼きにしたふあぁぁぁ。」

「あら?朝型の桃にしてはめずらしく眠そうね。」

「ははは。ちょっと眠れなくて。」

夕べはなかなか寝付けなくて、夜明け近くにウトウトしただけ。

いつも瞬殺で寝てしまう私にはありえない出来事だった。


ありえない出来事…

あっちの方がありえない出来事か。

サラダと目玉焼きをお皿に盛りながら、1人赤くなる。

先生の温もりや香りが
消えない記憶となって一晩中私をドキドキさせた。

今も、
してるけどね…。


朝食を済ませ、汚れたお皿を流しに運ぶ。

「じゃあ、行ってくるね。」

「気をつけていってらっしゃい。」

朝食は私が作って、お母さんが片付ける。

それが我が家のルール。


先生と私を繋いだカメラを
そっとバッグに入れて家を出た。


今日も良い天気。

寝不足の目には眩しいくらい(笑)


学校までは歩いて15分程度の距離で
その途中に『ママの店』がある。


私の世界はそれだけ…。


昨日までは。




あの屋上で

先生にまた、会えるかな。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い11.75

それにしても、うるさい…(怒)


静寂の中のシャッター音はかなり響く。

それが1時間…。

あいつ、何を撮ろうとしてるんだ?

ベンチから身を起こし、階下を覗く。

ほとんど同じ場所で数枚撮っては
「うーーーーん…」
と唸っている。


あんな小さなカメラじゃ高が知れてるだろうに…。

対象物が動いてるのか?


研究の目処がついて心に余裕が出来たからなのか
今までなら興味が無かった他人の行動が妙に気になった。


気になって…

つい、声をかけてしまった。

の結果、
今、腕の中にこいつを抱いている。

「お前はいつも騒がしいな。」

やっぱりトラブルメーカーの素質があるようだ。


真っ赤な顔して、目の前に立つ小さな生き物…。

俺の手に触れないようにライターを渡す無垢な生き物…。




壊したい…




守りたい…




複雑な感情に駆られ、
頬に手が伸びた…。


「!!!!!!」


さらに染まる頬…。

その柔らかさと想像通りの反応に
思わず笑みが漏れた。




「母の店のメニュー表に使う写真を撮ってましたっっ!
 ここから店が見えるんですっっ!」

母親の店…

ああ、教授が追っかけてる女の店か。

撮った画像を見ると
どれもド真ん中に来てる店がある。

見事な日の丸構図だな(苦笑)


「おい。ここに座れ。」


俺は桃を隣に座らせた。




夕方になると屋上に吹く風はかなり冷たい。

白衣を着ていても、寒さを感じる。

それなのにこいつは…。

短いんだよ、スカートが(怒)




風から守るように後ろから抱いてやる。

「な!?な!?」

俺の厚意を無にするように
パニックになって暴れる桃。

「せ、せ、せんせい!?ど、ど、ど…」

「うるさい。だまれ。」

止まった…。

というより、固まった。


ホントにこいつは…

「よし、良い子だ、桃。」

分かり易い(笑)




結果的に同じような画になってるが、
気に入らずに何度も撮りなおしていたという事は
自分の撮ったものに問題があると感じてるという事。

まだ、見込みがあるか。




夕方特有の色に変わった町並みを
俺の感性で切り取る。

桃は目を見開き
それを見つめた。


「全然ちがうって思ったか?」

「は…い。」

「お前は、素直だな。」

本心から出た言葉だった。




久しぶりの感触…。


研究室の外でシャッターを切ることも
人にこうして教えることも
あの日から無かった。




「今日は暗くなってきたから、また出直してこい。」

そう言うとおずおずと離れる桃…。

今まで抱いていた温もりが風に消されてゆく。

温められていたのは
俺の方か…。




「来る時は1人で来い。」


桃は小さくうなずいた。




らしくないな、全く…。




俺は再び煙草に火をつけ、ベンチに横になった。




18年の時を経て
再び切られたシャッターは
俺をどこに向かわせようとしているのか…。




夜空を照らす大きな月は何も答えてくれない。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い11.50

あいつ、どうしてここに?




この棟の屋上は生徒立入禁止になっている。

建物が老朽化した為というのが表向きの理由だが、
頭をリセットする場所を確保すべく
「あそこは危険」
と俺が学園長に吹き込んだ。

つまりここは俺しか来ない場所なのだ。

普段は鍵をかけてあるが、今は俺がいるので開いている。

まぁ、すぐ帰るだろう。

声をかけずに放っておくことにした。




白石桃…。

すっかり名前を覚えてしまったな。

遅刻をさせられた最悪の出会いから始まって、
あの写真の前で再会し、
教授との同伴遅刻…。

見た目は普通すぎるほど普通でインパクトゼロな女生徒なのに、
俺の中ではトラブルメーカーという地位にのし上がっている。

同伴遅刻の時は
教授との仲を疑い、
それを使って逃れようとする狡さに
冷静沈着な俺様もつい取り乱してしまったが、
あとで教授を問いただすと
狙いはあいつの母親だという事が判明した。

遅刻したのも
母親の情報を得る為にしつこく質問を浴びせたせいだと。

あれからあいつは
授業の時、俺の目を見ない。

それどころか、目立たないように小さくなっている。
(もともと小さいが)

そうすることで、余計に目立つことが分かっていないらしい。

俺の視界に入ることに必死な女子どもの中であいつは異質だ。
(そのとなりのヤツも睨みっぱなしで異質だが…。)

あいつ…桃は
俺が視線を外すと盗み見るように視線を向ける。

誰よりも無垢な瞳で…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い11.25

終わったな…。




5月の午後、
俺は達成感と疲労感の狭間に身を任せていた。

屋上のベンチに横になり、何本目かの煙草に火をつける。

煙がゆっくりと空に消えてゆく。




約18年かかった研究にやっと目処がついた。

あとは研究室の学生に任せても結果が出るだろう。


―結果を急ぐと、ろくなことが無い―


悔しいが教授の言った通りだった。

4月に結果を焦ったことがあったが
あと一歩のところでまんまと失敗した。

こういうのを
亀の甲より年の功って言うんだろうな…。

がむしゃらに走ってきたが
結局あの人には追いつけなかった。


俺のすべきことは終わった。

大学を去る時が来たのかもしれない。


いつかは来るであろう、その時…。

俺の心に過るのは何なのかとずっと考えていた。


寂しさなのか…

虚無感なのか…


しかし、実際は
何かが動き出す予感から来る高揚感だった。




「ばかな…。何を今さら…。」


己の気持ちの高ぶりを嘲るように言葉にする。




ガチャッッ




煙草を咥えたまま、瞳を閉じた時…
屋上の扉が開いた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い11

帰り道も
お母さんとの会話も夢心地で
背中にはまだ
先生の熱が残っている…。

早くひとりになりたくて
お店で夕飯を食べたら、
閉店を待たずに家に戻った。

冷たい空気に触れたくて
自分の部屋の窓を思いっきり開ける。

空には大きくお月さまが見えた。


きれい…。

先生も見てるのかな…。


記憶をたどりながら
先生の言葉を思い出す。

たくさん写真の話をしてくれたけど
私は
「はぁ…」
とか
「えーーーっと…」
とか、つまんないことしか言えなくて
会話にはなってなかった気がする。

でも、嬉しかった。

遅刻事件があって、
嫌われてると思ってたから。

それなのに
桃って呼んでくれた。

名前、覚えてくれてたんだ…。

先生だから普通のことなのかも知れないけど、

嬉しかった…。


えーーっと、
こうするんだよね。


両手を前にのばして
人差し指と親指で四角を作った。


「カメラが無くても、写真の練習はできるぞ。
 撮りたいものがあったらこうやって構図を考えてみろ。」


自分の手で作ったフレームに月夜を納めてみる。


また、
先生に会えますように…。

この気持ちを何と呼ぶのか分からないまま
そう月に願った。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い10

それから先生は
写真は構図が大事なんだと教えてくれて

「今度からこの画面で撮れ。」

と、カメラを私の前に差し出した。


ん?

画面に線が入ってる?


「この線はグリッド線といって、
 この交わった点の場所に目標物を置くと納まりがいい写真になる。」

「グリ…?」

「名前はどうでもいい。方法だけ覚えておけ。」

「は、はい。」

「画面、見てろよ。」

そう言って、何枚か撮って見せてくれる。

先生の体が動くたびに
煙草と消毒液の香り…。

あまりにも先生が自然にしてるから
頬の火照りが納まらない自分が恥ずかしい。

「そんなに固くなるな。」

無理です、先生。




「今日は暗くなってきたから、また出直してこい。」

その言葉を合図にようやく体が離れる。

2人の間に吹き抜ける風に思わず身を縮めた。

こんなに寒かったんだ、ここ。

先生に抱かれてたから気がつかなかった…。




「ありがとうございました。」
とお礼を言ってはしごを下りかけた時、

「ここは生徒立入禁止だからな。」

「え?」

「来る時は1人で来い。」

と、言われた。




ココニクレバ、
センセイニアエルンデスカ?


そう、聞きたかったけど
言葉にしたら夢から覚めてしまいそうで
ただうなずいてその場を後にした。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い09

「なんでも真ん中に持ってくればいいってもんじゃない。」

そう言った先生は私の前に腕を伸ばしカメラを構えた。

いつまでこのカッコなんだろ。

先生の言ってる意味を理解したくても、
この状況じゃ無理っっ!

「おい。画面見てろ。」

う…。

「お前のはこう。」

ママの店が画面の中心にある。

さっき私が撮った写真はどれもこんな感じだった。

「俺様なら…」




パシャ!




「こう撮る。」




先生が切り取った風景が映し出された。




これ…。

「まぁ、このカメラじゃこんなもんだな。」




それは、まさに
『街に溶け込むママの店』だった。

さっきの私の写真とは…

「全然ちがうって思ったか?」

「は…い。」

「お前は、素直だな。」

ぽんっと大きな手が頭に置かれた。




先生、今笑ってる?

なんとなく、
そんな気がする…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い08

「聞こえなかったのか?
 それともまたカウントされたいのか?」

その言葉にはじかれるように先生の隣に座る。

「今日はな、俺様はモーレツに機嫌がいい。
 じゃなかったらさっきお前を助けたりしなかったし、
 今からこんなことしないぞ。」

こんなこと?

こんなことってなんだろ?って疑問符が浮かんだ途端、
ぐっと肩を抱かれ再び先生の腕の中に…。

「な!?な!?」

男の人に後ろからすっぽり抱かれるなんていう
ありえないシチュエーションに完全パニックになる私。

「せ、せ、せんせい!?ど、ど、ど…」

「うるさい。だまれ。」

耳元で制される。

低く…

甘い声で。

「よし。良い子だ、桃。」

…わたしの名前。




「さて。」

桃色どころかすっかり青ざめてしまった私に
先生はカメラのプレビュー画面を見せた。

もちろん後ろから抱く形で。

「この写真、自分で見てどうだ?」

「え?」

「上手いと思うか?」

「…思いません。」

だから、こうして先生の腕の中にいるんですってば!

「そうだ。壊滅的に下手だ。」

そ、そんなに言わなくても(´;ω;`)

「でも…」

画面の真ん中をちょんっと突き、

「お前がこれを撮りたかったのは分かる。」

と、若干優しい口調で…。

ほ、褒められた?

「分かり過ぎるぐらいにな。」

いや、違うな…(涙)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

重なる心 すれ違う思い07

ここに上がってみると
さっきまでの景色とは異なる世界が広がっていた。

もっと遠くまで
もっと大きな世界を
見渡すことができる。

先生はここで何してたんだろ?

見ると、貯水タンクの横にはなぜか…

「ベンチ!?」

はしごでしか登ってこれないこの場所にどうしてベンチ?

そこにゆったりと長い脚を組んで座る先生。

「で、お前はさっきから何してたんだ?」

それはこっちのセリフですよっっ!

私の数々の疑問をよそに逆に質問してくる。

「え、えーーっと写真を撮ってました。」

「ばかか。そんな事はわかってる。
 人がのんびり昼寝をしてる所で
 1時間もシャッター音を聞かされてたんだからな(怒)」

ず、ずっといたの!?

「お前は何の目的で何を撮ってたんだと聞いているんだ。」

先生は眼鏡を上げながらギロリと睨む。

こ、怖いっっ(*´;ェ;`*)

キレイな顔だから余計に怖いっっ!

「あ、あの…」

「10、9、8…」

にゃーーーーーんっっΣ(゚Д゚|||)!!

「母の店のメニュー表に使う写真を撮ってましたっっ!
 ここから店が見えるんですっっ!」

「よし。」

ε-(;-ω-`A) フゥ…

「見せてみろ。」

え?

「7、6、5…」

10からじゃなくなってるーーー!!!

「は、はい、これです!」

私は緑色のカメラをそのまま渡した。

先生は慣れた手つきで電源を入れ、プレビュー画面を開く。

細く長い指が器用に動き、カメラを操作していく。

さっき私の頬を撫でた指が…。

自然とまた
頬が染まってゆく…。


「おい。ここに座れ。」

はい?

「と・な・り。」


――――――!?


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

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