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広がる世界+佐伯

「いらっしゃいませー。」

明るい笑顔に迎えられ、年甲斐もなく顔がゆるむ。

「佐伯先生、日替りでいいですか?」

「ああ。お願いするよ。」

いつものカウンターの席に座り、
てきぱきと動く洋子ママに熱い視線をおくる…。

最近の私は
このひと時のために仕事をしていると言っていい。

妻を亡くして5年。

久しぶりに感じた胸に高鳴り…。

少しでもここに通うために
面倒なことは二ノ宮くんに押しつけた。(こらっ)

偶然にも娘の桃ちゃんがわが校に入学することになり
洋子ママに近づくチャンスが巡ってきたのだ。

「ママ。桃ちゃんの事、きちんと頼んでおいたからね。」

「あら~。佐伯先生、そんな事よかったのに。」

「いやいや。かわいい一人娘に変な虫がついちゃいかんだろう。」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」

「何か心配ごとがあれば遠慮なく言ってきたまえよ。
これからは夜もちょくちょく寄らせていただ…」
「いらっしゃいませー。」

「…」




佐伯為雄56歳。

『きちんと頼んだ相手』が
近い将来、
最凶の虫になってしまう不運な男。




「ママ、今日の日替りもおいしいねー。」




穏やかな春の午後だった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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広がる世界+新田

なんだよ、二ノ宮のヤツ!

来たのは女子だけだっていうから
思いっきり気ぃ抜いてきたのにさ。

誰だよ、あの子。

思いっきりど真ん中のジャニ系じゃん!

しなやかな細い体に
やわらかそうなゆるふわパーマ…。

何?

プードル?

そうだよ、プードルちゃんだよ!

かわいい…。

かわいすぎる…。

大体、なんで顧問が二ノ宮なんだよ(怒)

冷徹メガネは趣味じゃないんだよ!

俺はバリタチなんだからさぁ。

おじい佐伯、あんなやつ指名すんじゃねぇよ。

ああ…

あのプードルちゃん、

なんとかなんないかな…。




ぞくっっ…

「う…。」

「どうしたの?優太くん。」

「な、なんだか寒気が…。」


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界6.75

午後から
前任の病理学講師と軽く引き継ぎをした。

あまりにもやる気が見られない俺を心配していたが
お互い、上の決めたことに逆らえる立場ではない。


その後、グラスを返しに構内のカフェに寄る。


「二ノ宮くん、夕飯はちゃんと摂らなきゃダメよ。」

常勤している栄養士に釘を刺される。

「良いお相手いないのー?もう、38でしょう?」

また、それか。

面倒な方向に話が進むのを遮るように礼を言う。

あからさまに嫌な顔をして振り向いたとき、


彼女を見つけた。








そうか…。

彼女が白石桃…。


教授から話を聞く前に
とっくに会っていたってことか…。

気にかけるも何も
しっかり守ってる男がいるじゃないか。

幼い顔をして、案外やるもんだな。




そう彼女の事を否定しながらも
運命的なものを感じずにはいられなかった。




あの写真を見て流した涙…

並木道での出会い…

無垢な瞳…




いくつもの符号が
俺を引き戻す…。




捨てたはずの過去…。




めまいを覚えて
屋上に向かった…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界6.50

「18年か…。」


俺の前にコーヒーを置いた教授は
窓の外を眺めながら言った。




18年という歳月。

長いのか…
短いのか…

あの時から俺の時間は止まったままだ。




「もういいんじゃないのか?」


教授はコーヒーを一口飲んで
血糖値が気になるんだがな…
とブツブツ言いながら砂糖を入れた。


「私も年をとった。
 そして君もだ、二ノ宮くん。
 いつまでも若くない。
 そろそろ自分の人生を歩んだらどうだ?」

「…おっしゃっている意味がわかりませんが。」

「いや。わかっているはずだ。」

「…。」




あの写真を置いた意味は?

その言葉と一緒に
コーヒーをゆっくりと飲みこむ。




意味は…




そういうことなのだろう…。





廊下で生徒の声がする。


「久しぶりに昼飯どうかね?」


そんな時間か…。


「またにします。あまり食欲が無いもので…。」

「研究もほどほどにしたまえよ。
 結果を急ぐと、ろくなことが無い。
 授業も写真部も息抜きと思えばいい。」

「…本気で言ってます?」

「本気だ。」

なぜ、目を逸らす(怒)




外で昼食をとると出て行った教授と別れ
野菜ジュースでも作ってもらおうとカフェに向かった。


それにしても
教授が最後に言ってきたあれは何だ。


「今年、食物学科に入ってきた子でな、
 知り合いの娘さんがいて…
 白石桃というんだが…。」

しきりに頭を撫でている。

「まぁ、あれだ…、
 気にかけてやってくれ。」

至極、歯切れが悪い。

俺がそういうのを嫌いだと
知っていての話だからか?




白石桃か…。

関わりになることもないだろう…。




web拍手














広がる世界6.25

「佐伯教授。」


やっと、つかまえたぞ。

昨日、俺に写真部を押しつけて以来だ。


「あきらかに逃げてますよね?俺から。」

「何、馬鹿なことを言ってるんだ。
 私が君から逃げる理由なんてないよ。
 かわいい教え子の恭一郎くん。」

「と、言いつつ出て行こうとするのはなぜですか?」




ここは、大学院内にある病理学研究室。

で、この目の前の
俺から逃げたそうにしている人物は佐伯教授。

ハゲてはいるがこの世界で知らない者はいない。




「これ、教授でしょう?」

俺はあの写真パネルを差し出した。

「しーーーらんよーーー。」

それを人は
動揺してると言うんだ!

「この存在を知っている人物はあなたしかいません。」

今日は冷静に問い詰めようと決めていたが…

「う、宇宙人が来て置いていったんじゃないのかなーーー?」

ブチっっっ!!!!!!

何かが切れる音がした…。




今朝それとなく、
部長の新田に聞いてみたが、

「写真パネル?
 昨日のあの時間にはすべて回収してたはずですよ。」

と言っていた。

大体、新田がこの写真のことを知ってる訳がない。




「佐伯教授…。」


もう一度息を整えて、意図的に抑えた口調で詰め寄る。

この人にはこれが効果的だと長年の付き合いでわかっていた。


「いい年をして、どうしてこんないたずらをするんですか?」

「いたずらじゃない。虫干しだ。」

吐いた…。

「たまには出してやらんといかんだろーーー?(笑)」

「こっ…の、ハゲ…」

俺の我慢もここまでだった。




「18年前、処分したと言ってましたよね?」

「そうだったかなーーー?」

「あなたって人はーーー(怒)」

「まぁ、そんなに眉間にしわを寄せて怒らんでも。
 せっかくのキレイな顔が台無しだぞ。
 それにしても、相変わらず嫌味な髪だ。
 つやつやでフサフサで…。
 長めにしてるのは私へのあて付けか?」

と、悪びれず
頭をツルンと撫でながら言う…。


はぁ…。

いつも結局こうなる…。




「コーヒー、飲むだろう?(笑)」




かなわないな、
この人には…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界06

「ナイト登場か。」

私と優太くんをちらっと見て
…行ってしまった。

「何?どうしたの?」

「えっ…と。
 昨日、あのブースで会って…たぶん写真部の顧問だと思う。」

何だか、しどろもどろになってしまう。

「そう…。」

「優太…くん?」

「あっ、ごめん。
 今度は桃ちゃんが食べられちゃうんじゃないかと思ってさ。」

「えーーー!?そんなんじゃないよーーー!」

私はブンブンと手と頭を振って否定した。

「なら、いいけどさ。でも…」

優太くんは私の頬をつんっとつついて、

「顔、赤いよ。」

と、真顔で言った。

「え!?走ったからだよ!」

ホントは違うとわかってて、
必死で言い訳をならべるけど
優太くんは心の奥を読むように私をじっとみつめてる。

居たたまれなくなってうつむいていると、

「桃ちゃん。お茶しよっか?」

と笑顔で言ってくれた。

よかった。
いつもの優太くんだ。

それから小一時間、
お茶しながらいっぱいおしゃべりしたけど
優太くんはときどき上の空…。


私も…


眼鏡の奥の瞳を思い出していた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界05

一斉に女生徒の視線が集中したのがわかった。

目の前のこの人に…。




「あ、はい。会いましたっっ。」

「そうか。」

「……。」

き、緊張して…
頭まっしろ!!!

視線も痛いし!

「じゃ。」

あ…
行ってしまう。

緊張して何も話せないくせに、
なんだろ…、
この気持ち…。

はじめてのモヤモヤした気持ちに戸惑いながら
広い背中が遠ざかっていくのをを見ていると、

「!?」

急に立ち止まり、振り向いた。




気持ちを見透かされたような気がして
耳まで赤くなる。

「お前、名前は?」

「え?」

「名前だよ。」

「し…」

「白石桃ですけど、何か?」

トレーを持った優太くんが
となりでそう言った。

優太くん、
笑ってるけど…

いつものスマイルじゃないよ?


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界04

写真部の部長さんは
なんていうか…
不思議な(世界の)人だった。

「あの…入部は…」

まで言うと

「ああ、しないよね?だと、思った。」

と、
怒りもせず
笑いもせず
私も見ずにそう言った。

ただ、
となりに立ってる優太くんを
じーーーっと見てる。

「はは。拍子抜けだね。じゃ、行こっか。」

って、優太くんが言った途端、

「君は入るよね?」

と、態度豹変。

「君、名前は?
二ノ宮は女子だけって言ってたけど、昨日も来てたの?
ああ、残っておけばよかったな。
どうせ、ろくなヤツ来ないし、帰ったんだよ。
君みたいなかわいいコなら大歓迎さ!」

こ、これは、もしや!!!

「あ、あの…僕は付き添いで…。」

「そうなの?
じゃあ、モデルやらない?服着ててもいいからさ♪
ああ、そこの女子、もう帰っていいよ。」

優太くん、青ざめてまーーーす。




命辛々、逃げてきた私たちは、
とりあえず構内のカフェに落ち着くことにした。

「部長さんって、あっちの世界の人?」

「そうみたいだね。本気で喰われちゃうかと思ったよ。」

「優太くん、かわいいもんね。」

「桃ちゃん。男にかわいいは褒め言葉じゃないよ。
それに桃ちゃんの方がよっぽどかわいいし。」

「//////」

「ねぇ。走ったら喉乾いちゃった。何か飲もうよ。」

まだ、どきどきが治まらないのに涼しい顔で歩き出す。


優太くんも十分、

不思議な人…。




ここのカフェは大きい学校だけあって
すごくキレイで充実してる。
(しかも、お安い♪)

私はホットのソイラテ、
優太くんはアイスのオレンジティを注文した。

「持って行くから、席取っといて。」

「うん。」

ぐるっと見渡して
中庭が見える、窓際の席に向かった。


その時、

「部長には会ったのか?」

あの声に呼び止められた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界03

次の日の午後、優太くんのナビで
写真部のブースがある棟に向かった。

「桃ちゃん、結局どこのサークルにも入らないんだ。」

「うん。サークル活動ってお金かかりそうだし、
 特にこれっていうのも見つからなかったし、
 帰ってお店の手伝いでもしよっかなぁって。」

「そっか。やってみれば楽しいって事もあると思うけどね。
 とは言っても、僕もバイトで忙しいんだけどさ。」

「バイト?」

「そう、バイト。週6で駅前の居酒屋。」

「週6日も!?
 駅前の居酒屋って朝までやってるとこだよね?」

「うん。5時まで。毎日、朝帰りだよ(笑)」

「体…大丈夫なの?」

「カフェの開店資金貯めるためだからね。
 それに僕は見かけよりタフなんだ。」

優太くんはかわいくウィンクした。

「今度愛未ちゃんとおいでよ。サービスするからさ♪
 フードメニューもソフトドリンクもいっぱいあるし。」

「…その話したら、お母さんもきちゃいそう。」

「もちろん、大歓迎!
 っと、着いたよ。ここが写真部のブース。」

「…う、うん。」

「一緒に行くから、緊張しなくていいよ。」

「ありがとう…。」

いつの間にか優太くんに素直に甘えてる自分がいる。

お兄ちゃんって
こんな感じなのかなぁ?


同い年だけど(笑)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界02

「君が例の優太くんね。はじめまして!桃の母の洋子です。」

「私は看護学科の北川愛未。桃の幼なじみ♪」

「どうも。はじめまして。突然おじゃましちゃって…。」

「いいの、いいの!
 そもそもココ、お店なんだから突然来るもんだし(笑)」

「って、愛未ちゃんが言うのおかしくない?」

あははは~~~!!!

って
3人さん、
私そっちのけで盛り上がり過ぎです!




優太くんは
お母さんにも
愛未にも
この店にも
いとも簡単に馴染んでみせた。

お母さんはともかく
愛未が簡単にガードを外すのはめずらしい。

私みたいに人見知りではないけれど、
その人がわかるまで距離を置いて接するクセがあるから。

「ねぇ?優太ってさ、彼女いるの?
 クラスでも囲まれてたって聞いたけど?」

ま、愛未さん!
いきなり突っ込み過ぎじゃない?
しかも、優太って!

「ううん。いないよ。僕は特定の子は作らないんだ。」

「どうして?すっごいイケメンなのに、もったいない!」

お母さんまで参戦するっっ!?

「そうだなぁ…。世の中の女性すべてが彼女って事かな?」

「なんだぁ、それーーー!」

「言うわねぇ!」

ウケてます…。




それから優太くんは
あのふわっふわオムライスを食べ、

「すっごくおいしいっっ!」

を連発してお母さんを最高に喜ばせた。




優太くんが帰った後

「いいヤツじゃん、優太!
大切にしなよ、はじめて出来た男友達なんだから。」

って愛未に言われて
私も最高に嬉しくなった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

広がる世界01

「桃ちゃん、ごめんね。」

さっきから優太くんがしきりに謝ってくる。

「僕が色々連れまわしたから、かなり遅くなっちゃったね。
 お母さん、心配してるんじゃない?」

「ううん。大丈夫。うちは放任主義だから。」

とは言ってみたけど、愛未と一緒のとき以外、
こんなに遅くなった事がないから正直わからない。

「危ないから、送っていくね。」

「ええ!?いいよぉ!近いから大丈夫。」

「ダ~メ!女の子一人で帰せないよ!!!」

結局また押し切られちゃうのね。




「ただいまぁ…。」

「あっ!桃、おかえり!」

「おかえり。今日は遅かったわね。」

「…愛未もいたんだ。」

「なぁに!その言い方!!!いちゃ悪い?」

「そ、そうじゃなくって…。」

「何してんの?桃。早く入んなさい。」

「う…ん…。それが、ね…。」

「こんばんは♪」

私の後ろから例の彼が…

「!?」
「!?」

「桃さんと同じクラスの中村優太です。
 今日は遅くなってスイマセン!」

と言ってぺこっとお辞儀をした。

二人は突然あらわれた彼を見て

「あ~!ふわっふわだぁぁぁ!!!」
「あ~!ふわっふわねぇぇぇ!!!」

って思いっきり指さした!

な~んてすばらしいハモリ!
じゃなくてぇ!!!

人に指ささないっっ!!!

優太くんは
なぁに?って首をかしげながら私の方を見るけど
ここは笑って誤魔化すしかないっっ!


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

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