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はじめての…4.75

「何だ?入部希望者か?」

折角の入部希望者だというのに
肝心の部員はいないらしい。

「他の奴らは帰ったのか…。相変わらず、熱意が無いな。」

新入部員が入ろうと入るまいとどうでもいいのか?

ブースがたてられるのは、
今日と明日の二日しかないというのに…。

「入部はかまわないが、存続も危ぶまれてるような部だぞ。」

こんな部じゃ入る生徒も迷惑だとそんな言葉が出た。

「…。」

返事が無い。

「おい。聞いてるのか?」

一人でしゃべっている空間がたまらず
女生徒の顔をのぞきこむと
頬に涙が伝わっていた。

「…お前、泣いてるのか?」

この生徒、どこかで…

「わ…たし…、やっ…ぱり…泣い…てます…か?」

幼さが残る顔でそう言った。

そうだ。

昨日の遅刻の元凶だ。

彼女は声も出さずに
ただ、涙を流していた。

「そうだな。その顔は笑ってる顔じゃない。」

昨日の事もあり
なんとなく軽口をたたいた。

そして、自分でも驚くほど自然に
手のひらで涙をぬぐっていた。

「なっっ!?」

彼女はびっくりして青くなった。

「昨日は笑ってたのに、今日は泣いてる。
入学早々、忙しいヤツだ。」

「あっ!昨日の?」

俺と認識した途端、
涙で濡れた頬が
桃色に染まっていく…。

青くなったり
赤くなったり
大変だな。

妙に感心しながら
彼女の後ろに視線を移すと

イーゼルに置かれた1枚の写真パネルが…。




!!!!!

なぜ、これがここに!?




あるはずのない写真がそこにあった。

押し寄せる記憶の波に
立っているのも苦しくなる…。

「これをみて泣いたのか?」

彼女にそう問いかけることで自分を保とうとしていた。

「え~っと。よく、わかりません。なんだか自然と…。」

「そうか…。」

そう言うのがやっとだった。

落ち着くどころか
彼女のその答えが俺をますます追い詰めていく。

パネルとイーゼルを抱え
教室を去ろうとした時、

「あ、あの…。」

小さな声がした。

そうだ、入部希望者だったな。

「明日また来るといい。部長に言っておくから。」

「いえ…あの…私は…。」

何か言いたそうだったが
早くこの場から消えたかった。




彼女のあのまっすぐな瞳…




あれはあの時の…




「二人目だな。これをみて泣いたのは…。」








屋上に上がり、
煙草に火をつける…。


空はいつの間にか
夜の闇に浸食されていた。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 
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はじめての…4.50

オレンジ色の日差しの中、
写真部のブースがたっている教室を目指していた。

入学式に遅刻した俺は、
案の定教授に嫌味を言われ、
廃部寸前の写真部のお守まで命ぜられた。

高校のころ、部に所属していた事もあり、
写真は嫌いじゃない。

しかし、この十数年、
意識して距離を置いていた。

この俺が写真部の顧問とは…、

「皮肉なものだな…。」

午前中、医学部3年の部長に会い、
部員数も少なく、
団体での活動もほとんど無いと聞いて
若干気が楽になった。

なるべく関わりたくはない。

大抵の事は許可を出すから、
俺を巻き込むなと釘を刺しておいた。



構内の一番西側の
ほとんど使われていない棟にブースがある。

もっといい場所を下さい!

なんて言い出す部員は一人もいなかったようだ。

教室に入ろうとした時、
人の気配を感じた。

部員が残っているのかと中をのぞくと、
中央で立ちすくんでいる生徒の姿があった。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

はじめての…4.25

昨日は、朝まで研究に没頭していて
入学式に遅れそうになっていた。

今年は短大の方で病理学を教えることになり、
式典関係は出席するように
(しつこいほど)言われていたが、

全く持って気が乗らない…。

俺は教師じゃない。研究者だ。

ハゲ教授に訴えたが、右から左に流された。

なにが
「頼むよぉ、二ノ宮くん。」
だ!

この2年、心血を注いできた研究が
あともう少しで形になるって時に…。

あの野郎…、わざとだな。

唇に触れてくる花びらにさえ怒りを感じながら
桜並木を急いでいた。

あと5分で始まる。

ちらりと腕時計を確認して足を速めた時、
桜を眺めている女生徒らしき姿が見えた。

かなり幼い。
新入生だろうか?

桜を見上げ…
微笑んでいる。

「おい、そこの一年。入学式始まるぞ。」

声をかけたその時、強い風が吹き

俺も

その子も

一瞬にして花びらに包まれた。




唇についた花びらを取っていると
かなり下の方に俺を見上げる視線を感じた。

小さいな。
ほんとに大学生か?

入学早々遅刻じゃかなり目立つぞ。

「おい、いつまでもぼーっとしてないで、さっさと聖堂に行くんだ。」

そう、注意すると

「あっっ!は、はい!!!」

慌てて走り出した…

思いっきり逆の方向に。

「方向、逆だ。」

聖堂の方向を指さす。

「す、すいません!!!」

頭を下げ、走っていった。

おいおい。大丈夫かよ。

呆れ半分で後ろ姿を眺めていた俺は



…遅刻した。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

はじめての…04

「他の奴らは帰ったのか…。相変わらず、熱意が無いな。」

「…。」

「入部はかまわないが、存続も危ぶまれてるような部だぞ。」

「…。」

「おい。聞いてるのか?」

聞こえてるよ。

聞こえてるけど…。

「…お前、泣いてるのか?」

大きな背を屈め、私の顔をのぞきこむ。

「わ…たし…、やっ…ぱり…泣い…てます…か?」

「そうだな。その顔は笑ってる顔じゃない。」

そして、手のひらで
私の涙をぐいっとぬぐった。

「なっっ!?」

びっくりしてさらに硬直する。

「昨日は笑ってたのに、今日は泣いてる。
 入学早々、忙しいヤツだ。」

「あっ!昨日の?」

聞き覚えがある声だと思ったら、
桜並木で会った白衣の男性だった。

眼鏡、
かけてたんだ…。

昨日はよく見えなかったけど
すっごくきれいな顔…。

そう認識した途端、
頬が赤く染まっていくのがわかった。

そ、そんなことよりお礼を言わなくちゃ!

と急いで頭を下げようとしたら…

「これをみて泣いたのか?」

そう質問されて、タイミングを失った。

「え~っと。よく、わかりません。なんだか自然と…。」

「そうか…。」

そう言うと、
パネルとイーゼルを抱え、
教室から出て行こうとする。

「あ、あの…。」

「明日また来るといい。部長に言っておくから。」

「いえ…あの…私は…。」

うまく言葉に出来ない。

そして、
戸口まで来たとき、

「二人目だな。これをみて泣いたのは…。」

つぶやき程の小さな声だった。




教室に一人残された私は
今起こった出来事が
頭で整理されなくて
ぼ~っと立っていた。

「桃ちゃん、ここにいたの?探したよ!」

優太くんの声でゆっくりと覚醒していく…。

「明日…。部長…。入部!?」

「桃ちゃん?」

「ゆ、優太くん!ここってどこのブースだったの?」

「写真部だけど?どうかした?」

「写真!?どうしよう!!!私、入部希望者に間違われちゃった!」

「いいじゃん、写真部♪
 ファインダーをのぞく女の子っていい感じだよ♪
 桃ちゃん、写真、好きだったんだぁ!」

「…ううん、まったく。
 携帯カメラすらまともに扱えたことないし。」

私の説明が下手っぴだから、
優太くんは訳がわからないって顔してる。

「よくわからないけどさ。入る気無いなら、断ればいいんじゃない?」

「そ、そっか。そうだよね!」

「うん。何なら明日も連れてきてあげるよ。」

いいよ、そんなの!って言いたいけど…

「桃ちゃん、ここまで来れないんでしょ?(笑)」

図星!




オレンジ色の教室には
いつのまにか
夜の蒼さが混ざっていた。


涙は、
もう乾いていた…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

はじめての…03

私にはお父さんがいない。

生まれたときにはいなかった…らしい。

お母さんには辛い思い出なのか、
お父さんのことはほとんど口にしない。

私が小さい頃、
―お父さんはどこにいるの?―
って困らせた時、
―桃っていう名前はお父さんが付けてくれたのよ。―
って教えてくれた。

その時のお母さんの顔、
とってもとっても辛そうで、
それからお父さんのことで困らせることは無くなった。

でもね、
ほんとうはずっと知りたかった。

お父さんはどんな人なのか…。

私はどうしてうまれてきたのか…。

私は…

あいされていたのか…。




「桃ちゃん、ここが最後だよ。」

と、優太くんは廊下の一番奥の教室を指差した。

「ここは、何のサークル?」

「国際交流だよ。桃ちゃんも見てみる?」

「ううん。日本語も苦手なのに国際交流なんて絶対無理!」

「そう?(笑)
 じゃ、すぐ戻ってくるから、ちょっとだけ待っててくれる?」

「うん。」

優太くんは教室の中に消えていった。




ここの棟は他と違ってずいぶん静か。

夕方のオレンジ色の日差しが当たる廊下を
ぶらぶらと歩いてみる。

教室をのぞくと、
ほとんどが机とイスが並んだだけの無人教室だった。

国際交流しかブースがないのかも。

と最後の教室をひょこっとのぞいてみると…

何も無い空間にイーゼルが一台。

なんだろう?

吸い込まれるように教室に入り
イーゼルの前に立った。

その上には
1枚の写真パネル…



一面…

桃色の花びら…



どくんっっ!


胸が

ざわざわする…。



その時、


「何だ?入部希望者か?」


聞き覚えのある低い声がした…。


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

はじめての…02

優太プードルの後をちょこちょこついて回るうちに
(逆さんぽ!?)
少しずつ緊張が解けてきて、フツーに話ができるようになった。

とってもイケメンさんなのに
どこか男臭さを感じさせない中世的な雰囲気があるから
男の子と話すのが苦手な私でも大丈夫みたい。

「へぇ。桃ちゃんちは飲食店なんだ。」

「うん。ママの店っていうカフェレストなの。」

「今度、行ってみていい?」

「ホント?今どきのおしゃれな店じゃないよ?」

「別におしゃれな店がいい店とは限らないよ。
 僕が考えるいい店の定義は人にあったかい店ってこと。」

「だったら大丈夫かなぁ。
 娘が言うのもどうかと思うけど、あったかくて美味しいもん。」

「そっか!楽しみだな♪で、そのお店はお母さん一人でやってるの?」

「うん。」

「じゃあ、お父さんは、外でお勤めかな?」

「ううん。いないの。うちは母一人子一人の母子家庭。」

「そっか…。」

「うん…。」

優太くんはそれ以上は何も言わなかった。

優しい人なんだね。

「優太くんちは?どんな感じ?」

「うち?うちは一般的な中流家庭。」

「?」

「父はサラリーマンで母は専業主婦で僕は一人っ子。」

「そっか。一人っ子ってとこは一緒だね♪」

「うん…。」

優太くんは少し考えるように間を開けた。

「優太くん?」

「ねぇ、桃ちゃん。良かったら今度、遊びに来る?」

「え?」

「友達になった記念にお互いの家を家庭訪問(笑)」

「友達?」

「そう。友達♪」

優太くんはふんわり笑ってそう言った。

私も自然に笑顔になった。

「うん!」

愛未、わたし友達できたよ。

しかも、
プードル似のイケメンさん(笑)


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

はじめての…01

「桃ちゃん、見たいブースある?」

「特には…。」

って答えたら、

旅行サークル、

テニスサークル、

ゴルフサークル、

スキーサークルetc…

と引っ張られるようにブースを回った後、
中庭でひと休みすることに。

「桃ちゃん、気に入ったのあった?」

「…ううん。優太くんは?」

「全部かなぁ。」

「え?全部?」

「うん。今までの全部入ろうかなって。」

「そんなに時間あるの?」

「無いけどさ(笑)在籍するだけでも女の子と知り合いになれるしね。
もちろん、都合が会えば活動にも参加するよ。」

そういえば、どのサークルも女の子多かったな。

「引いた?」

「…ちょっとだけ。」

「はは。正直だね(笑)」

「ごめんなさい。」

「桃ちゃん、僕ね。」

優太くんはキラキラした瞳で語りだした。

「将来、カフェを開くのが夢なんだ。」

「カフェ?」

「そう。心と体に優しい物を提供して女の子を笑顔にする店。
その為に栄養学を学びたかったし、
たくさんの女の子と知り合って、
気持ちを理解したかったからこの学校に入ったんだ。」

そう言うと、まっすぐ私をみつめて…

「プードルも色々考えてるんだよぉ。」

「き、聞こえてたの!?」

「ばっちりね♪」

「ごめんなさーーーーい(泣)」

「店の名前プードルにしようかな(笑)」

「う…。」

「じゃあ、桃ちゃん。
 まだまだブース回るから、僕についてきてワンっっ!」

「はいっっ!!!(滝汗)」

優太プードルは結構イジワル?


 ぽちりに感謝カンゲキ雨嵐<(_ _*)>



 

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