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出会いは危険な大人の香り…6

声は
少し開いた扉の隙間から聞こえてきた。

もっと言うと、

『私の背中がある為に
 少ししか開かなかった扉の隙間から
 必死に中を覗いている人物の声』

が聞こえてきた。


「ちょっと、チビッコ!どいてよ!」


チ、チビッコ!?


「私、でしょうか?」

「そうとしか取れんだろ?」


外界から声が聞こえると同時に、
私の手を離した目の前の人に聞く。

さっきまでは危険な存在だった人が
今は唯一、“知っている”存在なのだ。


「どいて良いんですか?」

「良いも悪いも、ここはアレの部屋だ。」

「え!?」


ということは…

私は慌てて扉の前から移動した。

ただ…


「もぉ!扉の前でイチャつかないでよ!
 僕の神聖な部屋が穢れちゃう!」


そう言いながら飛び込んできた人は
私とそうは目線の高さが変わらない…


「おい、ミユ。
 お前がこいつにチビッコって…。
 言ってて恥ずかしくないか?」


チビッコさんだった。




ミユと呼ばれているチビッコさんは、
長身さんとは別の部類のキレイな人で、
大きな二重の瞳がとても印象的な『美女』顔。

でも、白衣の下は
おへそが見えるほど短いタンクトップに
黒レザーのホットパンツ。

長いレオパード柄のストールを首に巻き、
前面にベルトがたくさんついた
厚底のロングブーツを履いている。


す、すっごく、個性的なファッション…。

校医さん、なんだよね?


耳に光るクロス柄のピアスを見つめながら、
とっても心配になってしまった。
(余計なお世話だろうけど)




それから暫らくの間、
2人の白衣さんの言い争いは続いた。


「それ脱いだら、同じぐらいの背じゃないか。」

「うるさいよ!人が気にしてることを!
 あと、ミユって呼ぶな!」

「背のこと言いだしたのお前だろうが。
 あと、キョウって呼ぶんじゃない。」

「そっちが呼ばなければ言わないよ!」

「それはコッチの台詞だ。」

「む~!」


所々、


「コレを持ちだすとはどういうつもりだ?」

「僕知らないよ。」

「どうせ、裏で糸を引いているのは教授だろう?」

「なんのことかなぁ?」


と、よくわからない内容もあったけど、
どうやらお友達同士のちょっとしたケンカのような感じで…、


放っておいても大丈夫、だよね?


私は扉まで移動し、2人に背を向けた。


そう。

スッカリ忘れてたけど、
今日は大事な入学式の日!

今から行くと式の途中になるけど、
式を丸々すっぽかすよりは良いに決まってる。


音をたてないように
慎重にドアノブを回した。

何となく、
ホントに何となくだけど、
声をかけずに出て行くのが正解のような気がして
無言のまま一歩外に出る。


「待て。」
「待ってよ。」


…二歩目はありませんでしたけど。




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出会いは危険な大人の香り…5

「あ、あの…」


忙しなく揺れる瞳は
決して俺の視線とは合わない。

合わせない方が
難しいような距離なのに、だ。

まだ何もしていないのに
ここまで怯えたような態度を見せられると…。

野兎を追う獣というのは
こういう気持なのかも知れない。

追い込んで、
追い詰めて、
…狩る。

俺は女の顎を右手で持ち、
視線と視線を交り合わせて、
こう言った。


「聞け。」


と。








動けない…。

顎を支えられ、
無理やり捕えられた視線。

今まで無機質だったその人の瞳が
怪しく色付いたような気がした。

体が震える。

恐怖なのか、
それとも…。








触れている部分から
震えが伝わってくる。

構わずにすっと撫で上げ、
そのまま治療した左手に伸ばす。

細い手首…。

男の力なら
簡単に手折れるだろう。

痛みを感じる寸前の力でその手首を持ち、
唇すれすれまで引き寄せる。


「!?」


女は自分の指と俺の唇を
瞬きもせず見つめていた。

涙が薄っすら浮かぶ、
濡れた瞳で。


子供のくせに
なかなか扇情的な目をするじゃないか。


そんな事を思いながら、
白い包帯に唇を寄せた。


こうすればお前は、
どんな顔をする?


これはもはや、
腹を満たす為の狩りでは無かった。








包帯を通しても
唇の柔らかさを感じられて、
僅かに動いていた思考は
完全にストップした。

私なのに私じゃない。

呼吸が出来ているのかもわからない。


「コレの治療に来いと言ったんだ。」


濃い霧の向こうで
誰かの声がする。


「わかったか?」


その言葉に
なんとか首を動かした時、


「うわっっ!
 キョウったらイケないことしてるぅ!!!」


背後から突然大きな声がして、
霧の世界から一気に覚醒した。




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出会いは危険な大人の香り…4

「もう、いいぞ。」


小さな医務室に響く
低く落ち着いた声。

左人差し指に
器用に巻かれた白い包帯。

この状況の何もかもが
私を追い詰めてゆく。

治療を受けている間、
心臓の音が聞こえやしないか、
そればかりが気になっていた。


「あの…ありがとうございました。」


お辞儀をしながら、小さく礼を述べ、
椅子から立ち上がる。


早く、ここを…


これ以上
妖艶なオーラを纏った見知らぬ男性と
個室で時を過ごすのは、


も、もう…無理っっ!


限界だった。

一刻も早く,
この息苦しさから解放されたかった。




私は…
男の人が苦手。

たとえ、
相手に悪意が無かったとしても、
側に寄られると身がすくみ、
話しかけられると言葉に詰まる。

今までは
同じぐらいの年の男の子が
“苦手な対象”だった。

それ以外と
出会うきっかけがなかったから…。

そう…、
初めてなのだ。

年上の美しい男(ひと)と
こうして
ふたりきりになることが…。


白衣の男性に背を向け、
足早に扉を目指す。

数歩歩けばドアノブに手が届く距離なのに
やけに遠く感じた。

ひんやりとしたノブを握って、
ほっと息を吐いた時、


「ちょっと待て。」

「!?」


再び、
息苦しい目眩の中に引き戻される…。




白衣の男性は
いつの間に火を点けたのか、
出逢った時と同じように
斜めに煙草を咥えていた。

そして、
煙と一緒に、


「明日も来い。」


という言葉を吐き出した。








不思議な反応だった。

どれもこれも。

少しでも長く側にいたがる女は
吐いて捨てるほどいたが、
逃げ出そうとする女はこいつが初めてだ。

それどころか、
視線を合わそうとすらしない。

ただ…、
俺の唇から取り去った花びらを
大事そうに仕舞った、だけ。


…女じゃ、ないのか。


恋の駆け引きも知らない
子供ということか。

それならば、
優しくもできる。

女は面倒なだけの生き物だが、
ケガをした子供は
庇護の対象だ。


俺はまだ
若干のイラつきが残る気持ちを鎮める為、
赤い箱から煙草を取り出した。

普段行っている動作をすることで
然程待つことなく、自分を取り戻す。

2、3度、ニコチンを体に入れた後、
いそいそと退室しようとしていた
ソレを呼び止めた。

明日もここに来るように告げると、
案の定、
驚いた表情を見せ固まる。


馬鹿な子供だ…。


煙草を咥えたまま、
距離を詰めてゆく。

“意味”を教えてやるために。



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出会いは危険な大人の香り…3

「あ、あの、どこに?」

「…」


並木道を足早に歩く。

さっき会ったばかりの
名前も知らない男の人に手を引かれて…。




持たれた左手の先端、
煙草の灰が当たった人差し指は
ズキズキと火傷特有の痛みがした。

でも、
大きな手で握られた手首の方が
何倍も何十倍も熱かった…。








「ああ、行っちゃった…。」

「うん。行っちゃったねぇ。」

「教授がさっさと出て行かないからですよ!」

「だって、まさか
 桃ちゃんが来るとは思わなかったんだもん。」

「だから、何者ですか?その、桃ちゃんって。
 さっきのチビっこいコでしょ?」

「チビっこいって君が言うかね?(笑)」

「…教授、怒りますよ。」

「おおーーー、怖っっ!」

「って、逃げんな!」

「逃げじゃない。攻めだ。」

「は?」

「ミユ、計画をBパターンに変更する。」

「はぁぁぁ?」

「ほら、行くぞ!」

「待て、こら、じじぃ!
 あと、ミユって言うなっっ!」








歩を進める視界の端に、
ふたつの白い影が見えた。


あの野郎ども、
やっぱり隠れていやがったな。


すぐにでも
ぶん殴ってやりたい気分だが、
今の優先事項は…


「入れ。」

「え?」

「いいから。」

「あ、はい。」


まるで小動物だ。

おどおど部屋を見回して…。




すべてが癇に障る。

…何よりも、
あんな手にまんまと引っ掛かった、
自分に腹が立つ。

あれは…
もうダメだろう。

ただし、
ホンモノであれば、だが。








ここは、
医務室?

カーテンで仕切られたベッドと
消毒薬の臭いが
それを証明していた。




「そこに座れ。」


窓際に置かれた机の前には
ふたつの椅子。

背もたれが有るものと
無いもの。

私は背もたれの無い方を選択し、


「ありがとうございます。」


と、座った。

ここまで来るとさすがに
この男性がしようとしている事がわかって、
静かに指示を待つ。

ふと、握りしめたままだった
花びらの存在が気になった。

正面の壁に置かれた棚から
薬を取り出す後ろ姿を確認して、
そっと右掌を開いてみる。


よかった。
きれいなままだ。


折れたり千切れれたりしていないことに
ほっと胸を撫で下ろし、
急いで
胸ポケットに入れてある生徒手帳に挟む。

元の位置に手帳を入れたのと同時に
男性が振り向いた。


見られて、ないよね?


何となく、
あの花びらをしまったことは
秘密にしておきたかった。


だって…
唇についてたんだもん、このコ。

そんなものを後生大事にしまうって
気持ち悪がられちゃうよ。


私は胸ポケットをそっと押さえて、
もう一度その存在を確かめた…。








消毒薬を藥棚から取り出した所で、
ガラスに女の不審な行動が映し出される。


何をやっている?


じっとこちらを見たかと思えば、
手帳らしきものを取り出し、
何かを挟んだ。


何か…

あの、桜の花びらか?


一連の作業が終わると、
ホッとしたような顔で微笑む。

胸ポケットを押さえて…。




変な、ヤツだな。




それが、
俺とアイツの出逢いだった。




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出会いは危険な大人の香り…2

灰皿…

灰皿…

そっか、
灰が落ちそうなんだ。


斜に咥えられた煙草は
灰色にどんどん浸食されている。

彼の白衣の胸ポケットには、
万年筆と
黒インク、赤インクのボールペン。

それらを避け、
隙間に手を侵入させると、
皮のような材質が指先に触れた。


「えっ…と、これ、かな…」

「ああ…」


視線と吐息、
そして甘い声を頭上で感じ、
彼に触れているという羞恥心が
一気に湧き上がる。

目的のモノを少し乱暴に取り出し、
急いで距離を取った。

私が起こした衝撃で
白衣の裾が…


「揺らすな、バカ!!!」

「へ?」

「起きるだろうが、あいつらが!」

「は、はい?」


何言ってるんだろう?

あいつら?


キョロキョロと辺りを見回すけれど、
私と彼以外
誰もいない…。

羞恥心が
大きな疑問にすり替わって、
今まで
直視できなかった美しい顔を見る。

彼は…
悩ましげに眉間に皺を寄せ、
何かを忙しなく見ている。


何か…


ポケット?


その人は
自分の左右のポケットを
心配?…していた。

そう言えばずっと
ポケットに両手を入れたまま…。

手を出せば、
花びらも取れるし、
煙草だって…。

なんでこんな簡単なことに
気が付かないんだろう?


「あ、あのぉ…」

「!?」


私の声で
悩ましげに細められていた瞳が
大きく見開かれた。

忘れていた!
と言わんばかりに…。


その時、
口に咥えていた煙草の灰が
ポトリと落ちた。




「「あ!」」




落ちて行く灰が
スローモーションの様に
ゆっくり
ゆっくり
見えて…




「あっ…つ―――」

「な!?」




思わず
掌を差し出してしまった。




「バカ野郎!
 手を出す奴があるか!」


あ…れ?


「落ちたか、灰?
 どこに当たった?」


焦ったように
私の両手を念入りに調べる。

今まで白衣のポケットに
隠れていた手で…。


「手、出せるんですね?」

「はぁ?
 何言ってるんだ、お前?」

「…花びら、まだついてますよ?」

「…。」


その言葉には反応せず、
まだ私の手を見ている…。

そして、
左手人差し指の先端に
小さな赤をみつけた。


「ここに当たったのか…。」


ぐいっと左手を引き寄せる。

赤い印がある
人差し指には触れないように。

私は…
こんな恥ずかしい状況なのに
彼の唇に留まり続ける
薄桃色の花びらが気になって…
空いている方の右手を伸ばした。


「―――!」


何か言いたげに動いた唇には触れないように
そっと花びらを剥がす。

そしてようやく…
追いかけた一片は
私の掌に収まった。




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出会いは危険な大人の香り…1

パンフレットで見るより
何倍も凄い…。




その見事な桜並木に圧倒されて、
私は口をぽかんと開けたまま
ただ上を見上げていた。

左右から伸びた枝枝で
空さえも見えない。

見えるのは
桃色の世界…。




今朝、
制服のタイが上手く結べずに
出かけるのが随分遅れてしまった。

おそらく、
入学式が行われる聖堂は
この並木道の先にある。

前にも後ろにも誰もいない。

もうすぐ式が始まる時間なんだから
それって当り前で、
私も急ぐべきなんだけど…
なぜか動けずにいた。




春の風が花びらを揺らし、
私の体に次々と桃色を落とす。

染まっていく身体に
まるで自分も
この風景の一部になったような
そんな錯覚を覚えた。

目を閉じ、
深呼吸をする。

桜の花には
ほとんど香りが無いと
聞いたことがあったけれど、
こうして深く吸い込むと、
かすかな淡い香りがした。

何度目かの深呼吸をしたところでふと、
頬に当たる風が
止んでいる事に気付く。

そっと目を開けると、
舞い落ちていた花びらも
ぴたりと動きを止めていた。

違和感に再び見上げると、
一片の小さな花びらが
ゆっくりゆっくり
落ちてくるのが見えた。


「あ!」


私は条件反射のように手を伸ばし、
両の掌を上に向け、
到着を待つ。

ふわり

微かだが
掌に感触があった。


「や、やった~♪」


花びらを確認するため
挙げていた手を胸の高さまで降ろした途端、


ビュゥーーーー!


再び強い風が起こり、
私の手から逃れるようにひとひらが舞った。


ひらり、ひらり…


風に乗って
軽やかに踊る薄桃色の花びら。

不思議と他の花びらたちと
見分けがつく。


ひらり、ひらり…

ひらり、ひらり…


その動きは
とても可憐で優雅で、
捕まえてしまうのが惜しい気すら…。

私はうっとりと行方を追った。


ひらり、ひらり…

ひら…


あ、あれ?見失っちゃった?

さっきまで
あんなにはっきり見えていたのに。




「う゛っっ―――」




う゛?




「くそ、忌々しい花びらどもめ!」




え?




花びらを見失った方向から
明らかに不機嫌そうな声が…。

恐る恐る歩いていくと、
一際大きな桜の木にもたれたまま
咥え煙草を燻らせている男性の姿があった。


白衣?お医者さまかな?


と思ったのは、
この学校の敷地内に
大学病院が併設されているから。


そ、それにしても…


長身のスラリとした体躯に
風に流れる黒髪。

銀色の眼鏡の奥には
レンズ一枚では隠しきれない
圧倒的な魅力を放つ
切れ長の瞳が潜んでいた。


なんて、きれいな人…。

同じ世界に存在してるとは
思えないぐらい…。

でも…、


「花びら…ついています。」


そう、
煙草を咥えた方の反対側、
―私から見える―左側の口の端に
薄桃色の花びらが…。


「…わかってる。」


わかってる?

なら、
どうして取らないの?


「おい、お前。
 じっと見てないで、取れ、これを。」

「は…ぃ?」


私に言ってる…んだよね?


「…聞こえないのか。」


低音の良く響く声が
さらにトーンを下げた。


「い、いえっっ!
 聞こえてますっっ!!!」

「なら、早くしろっっ(怒)」

「は、はい!!!」


激しく促され、
体を無理やり動かしたものの…


ああ、今、
手と足が一緒に出てるよね(汗)


味わったことのない緊張感に
自分が自分じゃないみたいな変な感覚。

ギクシャクしながらもなんとか
その人の正面に回り込んだ。


う、うわっっ…


機嫌悪そうに伏せられた瞳の下に
長い睫毛が影を落として…

恋愛経験ゼロの私にだってわかる。

大人の色気っていうものが
出過ぎてるんだ…。


ど、どうしよう。

唇のアレ取るなんて、無理だよぉ!

今でこそ、
ドキがムネムネなのにっっ!!!


「ああ…くそ。落ちちまう。
 お前、こっちが先だ。
 胸ポケットから灰皿出せ。」

「!?」

「早くしろっっ!!!」

「は、はいぃーーー!」


もぉーーーー、
どうにでもなっちゃえぇ!


私は意を決して、
白衣の胸ポケットに手を入れた。 




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